週一以下ライダーが何かを成し遂げたいらしいですってよ?【反省編】かくして私のロードバイクは床の間バイクと化す③

ロードバイク

現実との乖離 ‐何がいけなかったのか‐

こんにちは、上田です。初回第二回と引き続きまして、2008年にロードバイクを購入し、色々な夢を見ていた私でしたが、割とすぐに厳しい現実にぶち当たります。そして次々と超えるべき壁がハードルのように現れる、あるいはデススターのゴミ処理施設のように壁がどんどん迫ってくる、まあどっちでもいいんですが、そういった道のりの険しさを思い知らされるのでありました。

てな訳で、ここからが私がロードバイクから若干距離をとってしまった理由となります。ついでに、これからロードバイクを買おうと考えている方に、こんな体験をする人間もいたんだ、という後ろ向きな体験談としてなんらかのお役に立てればいいなあ、などと都合のいいことも考えています。なお、全てはあくまで私の感想であり、あらゆる実感には個人差がありますことを、あらかじめご承知置きいただきたいと思います。

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(1)ロードバイクはレース機材です

颯爽となめらかにコースを駆け抜けていくプロレーサーに導かれて(?)、ついにロードバイクにまたがった私ですが、お店をでたところで早くも一番最初の壁にぶちあたりました。

「こわい」

当然ながらロードバイクは通常の自転車とは違います。この自転車は、ただ「一秒でも速く走るため」という設計思想に基づいて組み立てられています。ですから、乗り手の力を最も効率よく、長時間発揮できるような形状を持ちますが、乗り手にもそれに合わせた乗車姿勢と操作技術を要求することになります。

道路面に向かって下がり、前傾姿勢をとって手を伸ばした先に配されたドロップハンドル。ペダルに脚力がしっかりかかるよう高くセットされたサドル。それを繋ぐのはフレームと前傾した自分の肉体。ロードバイクの乗車姿勢というのは、それまで愛用していた、真っ直ぐなストレートハンドルと、やや前傾したスタイルで走るスポーティなフォールデイングバイクはもちろん、体を起こして手元のハンドル操作で走るシティサイクル(ママチャリ)などとは明らかに違いました。

ロードバイクが怖い理由1.足が届かないようになっている

それで何が怖いのかというと、まず第一に、足がつかないことです。幼稚園だか小学校の頃に習った、「自転車は止まった時に座ったまま地面に足がつくようにしましょうね」という先生の有り難い教訓とは明らかに相反する、ましてや、中学になってちょっと爪先立ちくらいにサドルの高さを上げてイキがっていた頃などバカバカしくなるほどです。

基本、サドルに腰かけている時には足は地面につきません。おおむね(若干の余裕を持って)足を伸ばした時に、ペダルが下端まで降りるのが正しいロードバイクのサドル位置であるからして、ペダル⇔地面間にはまだ空間が存在します。これを飛び越えて足をつこうとすると、あたかもバレリーナのようにつま先を地面へ突刺すか、ロードバイクを斜めにして地面と足の距離を縮めるしか有りません。前者は下手すると足首をぐねり、後者はそのまま横に倒れる感覚があります。

正解の作法としては、トップチューブを跨ぐようにサドルの前へ降りることなのですが、長年カラダに染み付いた「サドルに腰掛けたまま足を下ろすクセ」はいきなりは解消されず、その後しばらくはビクビクしながら停車することになりました。

ロードバイクが怖い理由2.ブレーキで前に飛ぶ?

第二に、ブレーキをかけるのに度胸が必要だったことです。ロードバイクのブレーキは、(通常)ドロップハンドルの前の方についています。これをしっかり握るためには、体勢を深くし、手を伸ばす必要があります。もう少し楽にブレーキをかけるためには、ブラケットと呼ばれる場所に手を置いたまま、レバーを軽く握る方法があります。

理屈は大体そういうことなのですが、高くセットされたサドルに腰かけ、体を前傾させてハンドルに手をかけて走り出し、いざ実際にブレーキをかけようとすると、実感するのが「前に飛びそうになる」&「届かない」

体重をサドルに残し、その上でブレーキを使う、という体重コントロールができればよかろうなのですが、慣れない前傾姿勢でハンドルのコントロールを失ってはいけないと必死にハンドルを握り締めていた結果、前体重気味に乗ってしまっていたんですね。その結果、ブラケットに手をかけたままブレーキをかけた瞬間に、体が前へ持っていかれる感覚に襲われました。もう少しスピードが出ていたら、あわや人間大砲。

それじゃ、ってことでブラケットからではなくハンドルのドロップ部分からレバーを握ろうとすると、こんどは届かない。必死に指を伸ばしても人差し指と中指の第一関節がなんとかかかる程度。これではブレーキに力が伝わりません。泡食ってると惰性で前進して停車できず足もつかず…まあ、危ないです。

機材的にブレーキの位置を近くするとか、体重のかけ方をマスターできれば解消される問題であったことを後になって知りましたが、はじめてのロードバイクでは停車も本当に気が抜けない作業となります。

ロードバイクが怖い理由3.体の痛み

第三に、前傾姿勢をとることによる体各部への痛みの発生です。それまでさしたる運動をしていない体で、普段しないような格好をすることを強制されるわけですから、そりゃ体中に痛みが走るのは当然です。これは怖さというよりは嫌さでしょうかね。

最初に痛んだのはやはり腰。前に傾くポーズをとり続けているうちに、徐々に痛みが走り出します。

次に背中から肩。緊張感&慣れない格好で力が入っているからか、筋肉がガッチガチに固まってしまい、ロードバイクを降りた後、筋肉痛と肩こりという形で襲ってきます。

こういった体の痛みという問題は、乗っていればいずれ慣れだったり、鍛えられたりすることで改善の方向には向かいます。しかし、乗り始めた当初にはこうした問題に向かい合う努力と精神力が求められます。「また痛いのか…」という嫌さは感じますね。

ロードバイクは快適な乗り物ですっていうけども!

確かに楽にスピードが出せて遠くに行ける、いい乗り物です。しかしそれは「乗りこなせるようになったら」という但し書き前提で。上手く乗れないうちは、単につらい乗車姿勢を強要される怖い乗り物に過ぎません。全然楽じゃないですし、遠くに行きたいとも思えません。

ですから、乗ればなにかしらできるだろう、乗ることぐらいは誰でもできるし…という私の思考はマズかった訳です。ロードバイクで楽しもう、ロードバイクのポテンシャルを引き出そうと思ったら、乗り手の方もきちんと乗りこなせるようにロードバイクに見合ったテクニック、身体能力を身につける必要性があった訳ですね。レース用自転車を使いこなせる人になる努力は、レースに出なくともちょっとだけ求められるんですよ。やっぱりそれ用に作られていたモノな訳ですから。

つまり、想像と異なり、いきなり楽しいモノではなかったわけです…という初心者の悲しい有様を結末として、次回に続きます。