『エルドリッチホラー 完全日本語版』(原題:『ELDRITCH HORROR』)を開けてみた
世界は崖っぷちに立たされている。巨大な災厄が今にも訪れようとしている。
現実とあちらの世界との壁が壊れ始め、異世界へのゲートが出現するにつれて、あらゆる大陸に、奇妙なカルト集団や、言葉を話せないモンスターたちが出現し始めている。あなたたち数少ない勇敢な探索者たちだけが、彼らに対抗できるのだ。
遥かな奥地を調査し、影に潜む悪夢のような生きものと戦い、古の謎を解き、エンシェントワンを葬ることが、あなたたちの義務なのだ!
(メーカーサイトより)
プレイ人数:1-8人
プレイ時間:120-240分
対象年齢:14歳以上
これが全世界版『アーカムホラー』だ、そうです
海の向こうアメリカでは、ゲームの主要素が“ゾンビ”か“クトゥルフ”だと、それだけで評価が上昇する傾向があると思います。ホント好きですよね。
それはさておき、H・P・ラヴクラフトの小説をベースに、A・ダーレスが完成させたという“クトゥルフ神話体系”をベースにしたゲームをリリースし続けるFantasy Flight Games(以下FFG)から、2013年に発売された大型クトゥルフゲームが、この『エルドリッチホラー』になります。
日本では、アークライトから日本語版が発売されています。このゲームは原作っぽいシチュエーションを再現するために、沢山の文章が使用されていますから、日本語で遊べる環境は大変有りがたいですね。
宇宙的恐怖の蓋が開く
それでは、箱の中身を見てみましょう。
とりあえず触手です。箱のサイズは約30cmの正方形で、高さは7cm。ただし、重量は2.15kg(メーカー公称)と大変重く仕上がっております。
90cm×60cmのテーブルでは、ボードだけで天面が一杯になってしまいます。
こういったものが260コ程度、さらにカードが300枚以上ということですから、とにかく管理が大変です。というわけで100均のタッパーを使って収納しています。ゲーム中もらくちん。
その他の内容物については、ゲーム説明時に順次ご紹介。なお、開封直後の中身全景写真が、メーカーサイトに掲載されていますので、宜しければこちらからどうぞ。
【プレイ前雑感】『アーカムホラー』のアップデート版なのか?
クトゥルフに関してはマニアという訳では有りませんが、大分昔から原作を読み、『クトゥルー』全冊を読み、TRPGもやってまいりました。そういう訳で私、実はアメリカ人並みにクトゥルフものには甘い採点をしてしまいがちです。
さて、ボードゲームでクトゥルフ神話、といえば、やはりFFGから発売されている多人数協力ゲーム『アーカムホラー』がいちばん印象的です。原作をベースにした濃厚な内容に、ゲームをプレイせずとも、イラストやカードの説明などを眺めているだけでもワクワクさせられます。
ただ、ゲーム全体がそういったクトゥルフ要素に彩られている分、一定程度以上のクトゥルフ好きでないと妙味が理解できず、遊ぶのがきつかったのではないかと思っています。また、ルールも処理がけっこう煩雑で、多人数で遊んでいると、なかなか手番が回ってこなくなったりして、全体のプレイ時間が長いだけに少々だれてしまうケースも見受けられました。全ての欠点はクトゥルフものに対する思い入れでカバーできる程度だと、個人的には思っているのですが、プレイに参加する全員が全員そうとも限りませんので、『アーカムホラー』を遊ぶタイミングというのは、なかなかやってきませんでした。
その後、FFGは『エルダーサイン』というやはりクトゥルフ神話ベースの協力ゲームを出しています。こちらはスマホアプリ(こちら)にもなっており、手軽なダイスロールゲームとして、なかなかに面白いものでした。ただ、簡単が故に、お化け屋敷を巡っている感覚で、(博物館で起きた怪異に立ち向かうという設定に適合しているとはいえ)『アーカムホラー』にあった、街やフィールドを探索している感覚がなくなってしまったのが残念でした。
というところで登場したのが、今回ご紹介する『エルドリッチホラー』です。一見したところ『アーカムホラー』をベースにしたルールで、舞台を世界に広げたということになると、アークライトのページにあるように「全世界版『アーカムホラー』」というように捉えるのが正しいのかもしれませんが、アーカムホラーで見られた処理の煩雑さ、冗長さが解決されていれば、ホラー要素の入った協力ゲームとして、そんなにクトゥルフ大好きという訳でもない人たちと一緒に遊びやすくなります。そこの所に期待して、『エルドリッチホラー』を遊んでみたいと思います。