スペースエクスプローラーズ(ボードゲームプレイ感想編)

スペースエクスプローラーズ

『スペースエクスプローラーズ』を遊んでみた

【関連記事】
スペースエクスプローラーズ(ボードゲーム開封編)
【登場人物】

奉行藩の決裁担当。宇宙に行ったら何したい?「浮遊する球状の液体をぱくっとするやつ」

与力藩の買掛担当。宇宙に行ったら何したい?「タイムラプス撮影ですかねえ」

遠い昔 はるか彼方の銀河系で…

奉行見た目からレトロな雰囲気漂う宇宙じゃな。

与力宇宙には夢と希望が待っている、というね。

奉行スターウォーズ計画とかじゃろ。なんとなく聞いたことがあるよ。

与力このゲームでは、攻撃衛星とか航空宇宙軍とかは出てこないですよ。

ゲームの準備を始めます。最初に人材カードを混ぜて山札を作り、6枚を引いて表向きに場に並べます。これを「センター」と呼びます。次に、プレイヤー人数+1枚のプロジェクトタイルを適当に選び、同じく場に並べておきます。そして各プレイヤーは人材カードを並べるハブ、研究チップのセット、リファレンスカードを受け取り、山札から人材カードを1枚引きます。これでゲームの準備完了です。

スペースエクスプローラーズ
さあ、レッツ宇宙開発。

与力ゲームの目的は、宇宙開発に最も貢献すること。平たく言えば、「進歩点」と名付けられている勝利点を最も稼ぐことですね。

奉行だいぶ平たくなったなあ。

与力「誰かが12人の人材をリクルートした」か「プロジェクトタイルが全部誰かの手に渡った」状態になるとゲームは終了します。この終了トリガーを覚えておいてくださいね。

奉行何ラウンド遊びますよ、とかではないということね。よし。

宇宙空間でも爆発音はする

与力さて、スタートプレイヤーからゲームが始まるのですが、実はこのゲーム、手番にやれることは基本的に「カードを引いてくる」か「手札からハブにカードを出す」だけなんですよ。

奉行はー、チップを取るか、チップを払ってカードを取るかする、なんとかの煌きみたいな…。

与力まあ、『宇宙の煌き』とか評される所以でもあります。

①カードを引く

プレイヤーがカードを引くことを選択した場合、センターに表向きに置かれた6枚のカードから1枚選んで引くか、山札の一番上から1枚引きます。

奉行これは迷わないな。

与力そうですね。狙いのカードが有ればセンターを選べばいいですし、そうでなければ山札に賭けるという感じでしょうか。

奉行うむ、分かりやすいな。

②カードをハブに出す

プレイヤーはセンターか手札からカードをハブに出し、研究と開発を進めることができます。ただし、カードを出す際には、コストを支払わなければなりません。

スペースエクスプローラーズ
ここはカードの各所に注意を払う部分。

与力ここでカードの見方を説明しておきましょう。

奉行説明書の最初にあるやつな。では改めて頼む。

与力カードの左上の数字は「勝利点」、ゲームの勝敗にダイレクトに関わる数字です。その直下のアイコンは「スキル」で、一致する色のハブに置くことができます。2つあったりすれば、そのどちらかから選ぶ感じですね。

奉行ふむ。なるほどな。

与力「スキル」はもう1つ、プロジェクトの達成にも関わりますが、それはまたあとで。左下の四角いシンボルは、配置コストがどれだけ必要かを示しています。この組立主任…主任かどうかは分かりませんが、赤、緑、紫の配置コストをどうにかして支払えば、自分のハブに置けるよ、と。

奉行なるほどねえ。ふむ。

与力最後に右下は「能力」ですね。特殊な能力が色々ありますんで、これが何を意味するかはリファレンスカードを参照してください。ここはどうしても初見泣かせのポイントですので。

奉行人を選ぶ時にはリファレンスを参照して慎重に、と。で、配置コストなのだが。

与力ここがですね、少し順番に見ていかないといけない部分なんですよ。

A.配置コストが削減されるかどうか?

与力ハブのどの位置でも、最初に置かれる人材カードは配置コストを全て支払わないといけません。

奉行そりゃまあ配置コストって言うくらいだからな。

与力ですが、配置しようとした位置に既にカードが置かれている場合はですね、コストが減るんですよ。

奉行へー、それは先達の手引きというか、そのような理由?

与力説明書にもそんなことが書いてありますね。いずれにせよ、先に置かれていたカード1枚につき、配置コストが“下からシンボル1個分”減ります。

スペースエクスプローラーズ
例えばこの状態ならば、紫のハブにカードを新しく配置する場合、配置コストは軽減される。

奉行ほー、ということは、沢山人がいる位置なら、場合によってはノーコストで置ける場合も?

与力あるかもしれないですね。

B.配置コストをどうやって支払うか?

与力さて、配置コストが0まで軽減されていなければ、これを支払わないとハブにカードを配置できません。

奉行だな。で、どうやって支払うのだ。

与力支払う方法は3つ。まず、ゲーム開始時に配られた研究チップでの支払いですね。一致するシンボルのチップを、左隣の人に渡すことで支払いが完了します。

奉行おおっ? つまり、自分の行動が次のプレイヤーを利すると?

与力そうなる可能性もあります。チップを受け取ったプレイヤーは、次の手番以降でそれを支払いに使えますんで。

奉行ふうん、なるほど…。しかし、研究チップだけでは足りぬ場合は?

与力支払い方法その2は、手札をセンターに表向きで出す、です。こうすると“どの種類のシンボルでも2個分”支払うことができます。

奉行ははあ、手札も支払いの資源になるのか。

与力左様です。ですので、手札を多くすることは、すなわちコストの高いカードを置く手段にもなります。最後の3つ目は、ハブに置かれているカードの能力によるものです。

奉行ん? ああ、カード右下のやつか?

与力はい。例えばこんな感じなんですけども。

スペースエクスプローラーズ
一見同じように見えて細部が違う組立技師。

与力上のカードは、特殊能力を持っていますのでリファレンスをご参照くださいなんですが、下のカードの能力は、「この色のシンボルを支払う」という意味です。

奉行ほおお、便利な。じゃあ、こういうのが付いている人が沢山ハブにいれば、チップやら手札やら使わんでもよくなるかもしれんのか?

与力そういう訳でもなくて、ですね。新しくハブに置くカードは、先に置かれているカードを隠すように並べます。

スペースエクスプローラーズ
だいぶ研究者が集まったハブの様子。

与力ハブの各色に列ができていますが、この列の一番下に置かれているカード、つまり“カード全体が見えるように置かれているカード”の能力だけが発動するんです。

奉行あ、つまり上書きされて使えなくなる能力が出てくるってことか。

与力そうです。能力が便利だからずっと使いたいカードがあっても、そこのカードを増やさないといけないみたいなシチュエーションが来ると、大分悩ましいことにはなりますね。

正しいか、間違いか

与力最後に、プロジェクトタイルの話を。

奉行おう、聞かせてくれ。

与力これはプレイヤーがやるやらないとは関係なく起きる現象だと思っておいてください。手番を終えたプレイヤーのハブに、プロジェクトタイルの要求を満たすだけのスキルを持つ人材カードがあれば、そのプロジェクトタイルを完了して獲得することができます。

スペースエクスプローラーズ
特別ふろく:歴史上のプロジェクト説明シートとともに。

与力たとえば一番手前のプロトン1号ですと、4色のスキルを1つずつですから、だいたい人材カードを4枚置けると、このプロジェクトを完了して3進歩点が手に入る、みたいな感じです。

奉行これもアレの貴族タイルじゃな。アクションを必要としないところも同じか。

与力理解がお早い。基本的にはこのタイルを集めることを目的として、カードをハブに置いていくと勝利が近づくんじゃないかなと思いますね。

奉行ダイレクトに進歩点になるようじゃからな。

与力これを繰り返して、終了トリガーが引かれたら全員の手番数が同じなるようにプレイしてから得点計算です。進歩点はハブの人材カードとプロジェクトタイルに書かれている数字、それからカードの能力に一部進歩点を追加してくれるものが有るので、それも合計して出すという形ですね。

奉行なるほどなるほど、大体わかった。いかに無駄なくスキルを支払っていくかじゃな!よし!

そしてこの手のゲームにはめっぽう強い奉行が与力に2連勝して宇宙開発戦争に決着をつけました。

『スペースエクスプローラーズ』【ここがイカス!】

奉行うん、まさしく『宝石の煌き』の展開を広げた感じのゲームじゃね。

与力そういう評価になってきますか。

奉行ただね、あっちと違って、研究チップが巡ってきて思いがけず手元の使える資源が増える瞬間が有ったり、手札を任意の資源としても使えるとかいう辺りは面白いメカニズムじゃな。

与力チップが回るのは面白いですよね。あれ、研究論文を発表してハブが充実するけど、その論文の成果を参照して他のハブの研究も進歩しちゃう、みたいな連鎖ですよね。

奉行そういう解釈で良いのか? ともあれ、一番大きいのはストレス低減の要素になっているということやに思うな。

与力確かに、宝石では「あの色のチップ欲しいけど、全部取られちゃってるな…」みたいなのはありますからね。それはいいところかもしれませんね。

奉行そのストレスが無い分、かなり別物ゲームになっている感じは強いかもな。あとは能力ね。

与力お奉行、うまく使っていましたね。

奉行アイコンだけで全部把握できるようになるのは大変だろうけど、局面が結構大きく動くようなものがあるので、うまくハマるとスキルを「あれ取ってこれ取って次にそれいって…」みたいな設計図をスキップしたり無視したりして、一気にゲームが進んだりするのでね、面白いね。

与力リファレンスをしっかり見ながら上手に使いこなせると、新たなエンジンビルドの地平が開けますね。

『スペースエクスプローラーズ』【ここはちょっと…】

奉行『宝石の煌き』のシンプルさこそお気に入り!という方には、ちょっと要素が多く感じられるかもしれんね。

与力良さの部分であげた能力の問題が主ですね。

奉行あと、研究チップの動きが止まったよな、ちょっと。

与力お互いに「使うと相手を利するな…」という思考で固まった瞬間がありましたね。

奉行結局カードの引き運で打開したけどね。そういう展開も起きるようだね。チップがグルグル回るメカニズムを楽しむには、1対1よりは、3人くらいいた方が面白いかもしれないねえ。どうなんだろうな。

与力プレイヤーの思考次第ですから、人数は関係しますかね…。

奉行あとお主、速攻策を採ってみごとに失敗しておったな。

与力12人配置して早々にゲームを終えてしまうという狙いをもってやってみましたけど、配置コストの安いカードが全然出てきませんで…。

奉行コストでレベル分けとかされてるわけではないからな。その辺も引き運に左右される部分ではあるな。

与力科学の発展も最終的には運ですよ、運。

スペースエクスプローラーズ
お互いが好きな宇宙船。

奉行わしらが生まれたずっとずっと前からアポロチョコは美味かった。

与力よくあるギャグですね。ボイジャーは宇宙の図鑑でよく読みました。いつかどこかで何かに遭遇するんですかね。

奉行ところでこのゲーム、スタートプレイヤーを決定する方法が「直近に宇宙空間を訪れたプレイヤー」とか書いてあるんだけど…。

与力日本だと本職の宇宙飛行士さんか前澤さんくらいに限定されますかね。

奉行お金配りおじさん、「このゲームのスタートプレイヤーになりたいから、私も宇宙に連れていってください!」とか頼んだら、連れてってくれないかなあ。