アンドールの伝説 リートブルク攻城戦(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好

『アンドールの伝説 リートブルク攻城戦』を遊んでみた

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【登場人物】

奉行藩の決裁担当。お気に入りの城といえば?「江戸城が残ってたらなあ、とたまに思っている」

与力藩の買掛担当。お気に入りの城といえば?「松本城ですね」

攻城の法は已むを得ざるが為めなり

奉行ほー、これはアンドールの…どういう状況だ?

与力えっとですね、どうやら基本セットの伝説4と伝説5の間を埋める話になるようです。

奉行ふうむ、あの溶岩が噴き出してくるアレをクリアすると、これを経過して最後の話に挑む、と。そういう年表になってくるのな。

与力てことなんで、ここで負けるとアンドールは救われません。

奉行どこで負けても救われんのがアンドールの常であろうが。よし、籠城じゃ! 軍旗を掲げよ! 貝を吹けィ!

ゲームの準備を開始します。まず、各プレイヤーは担当する勇者を選びます。最初のゲームで選ぶ勇者のおススメが説明書にありますので、それに従うのが良いでしょう。選んだら、対応する勇者カードを受け取ります。基本は各勇者3枚です。また、固有のトークンを使う勇者は、それも受け取ります。
遭遇カードと試練カードをそれぞれよく混ぜ、まず試練カードを城ボードの対応する位置に1枚ずつ裏向きで合計6枚配置します。残りは一旦横に置いておきます。続いて試練カードが半分隠れるように、遭遇カードを裏向きで1枚ずつ、合計6枚配置します。残った遭遇カードはひとまとめにしてボード上方に置き、山とします。
次に、参加するプレイヤー数×2枚の物語カードをめくり、その指示に従って追加の遭遇カードを配置します。その後、物語カード10枚、同盟者カード8枚、矢筒トークン、意志力トークンをボード上に準備したら、ゲームを開始します。スタートプレイヤーは「最も勇敢なプレイヤー」が務めてください。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
だいたい、こんな状態から始まります。

囲師には必ず闕き、窮寇には迫ること勿れ

奉行それでは、城を守るといたそうか。見たところ、どこにも出口がない危機のようでもあるし。

与力いえ、実は我々は守るために攻める立場でして。城を敵に奪われたのでこれを奪還しようという、そういった趣向でございます。

奉行ぎゃふん。なんだ、まさに我らが攻める、“攻城戦”なのか…いや、城攻めに2人とか正気の沙汰ではないが、そこはどうするんだ?

与力気合ですよ気合。さて、手番プレイヤーの行動は基本的に二択です。それ以外に自動的に処理できる自由行動が付随することもあります。

奉行ふぅん、昨今のゲームは選択肢が少なくて遊びやすいね。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
2人プレイおススメの組み合わせ。奉行はチャダ(緑)、与力はソーン(青)。

①手札アクション

与力勇者たちがなにか行動する時には、必ず手札のカードを出さないといけません。逆に言えば、手札に書かれている行動しか選択できないということになります。

奉行ふむ、何ができるかはその時の手札次第、と。

与力よくやるのは「敵を攻撃する」「移動する」「遭遇カードを表向きにする」といった行動なんですが、勇者ごと、カードごとにその強弱多寡が定まっていますので、適切なカードの選択がカギとなります。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
例えばこんなカード。

与力このカードを使うと、「攻撃力4の攻撃+意志力1獲得」、「任意の遭遇カード2枚を表向きに」「1回移動」のどれかができるわけです。

奉行なるほど。

与力全ての勇者に専用の行動が用意されていたりもしますので、そこらへんはアイコンの意味するところを説明書で確認してもらう必要がありますね。

奉行プレイヤーごとに得意分野が違うということじゃな、つまりは。

②休息アクション

与力しかしながら行動しているとあっという間に手札はなくなります。

奉行そりゃお主、3枚じゃからな。あっという間どころではあるまいよ。

与力そういう訳で、手札がなくなっていて何もできない、あるいはあるけれどもどの行動もやりたくないという場合に、使用済み手札を回収するのがこちらのアクションです。

奉行あー、再行動できるようになるには、ひと手間かけないといかんのね。

与力ただし、対価無しとはいきません。勇者が休息するたびに物語が進行するんですよ。

奉行ぬっ、本家にあったあれか、「一日の終わり」ってやつか。

与力物語カードをめくり、その指示に従ってボード上に追加の遭遇カードを配置します。つまりは…状況が悪化する訳ですね。

奉行敵の増援が湧いて出てしまうのだな。うーん。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
増援が到着し過ぎていると、こんなことになる場所も。近づけん。

奉行うーん、となるとうかつに手札を使いまくる訳にもいかんのか。というより、このわずか3枚のカードは増えないのか? 増えれば休息のタイミングを遅らせられるのだが。

与力手札を増やす手段は、同盟者カードを入手するしかないですね。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
同盟者、小っちゃいおじさん。

与力遭遇カードを公開すると、時々報酬としてこのカードを引くことができます。この人たちはそのまま手札になり、使った後は休息アクションで回収できるので、何度でも使える訳です。

奉行だが狙って増やせそうにはないな。そこは問題か…。

③自由行動

与力これに分類される行動は、希望すればいくらでもできます。
・表向きになっている装備の遭遇カードを入手する。
・同じ場所にいる他の勇者に装備や同盟者を渡す。
・遭遇カードが載っていない試練カードを表にする。
・試練の条件を満たす。
といった行動ですね。

奉行ふうむ…。

与力これらは手札アクションの途中に挟んでも構いません。例えば「移動⇒装備を入手⇒移動⇒さっき拾った装備を渡す⇒移動」みたいな感じでしょうか。

奉行どのすき間タイミングに差し挟んでいるかで、効率的に戦いを進められるか決まってくるアクション、という印象じゃなあ。

善く守る者には 敵、その攻むる所を知らず

奉行ところでだな。

与力はい、なんでしょう。

奉行この城攻めは、何をどうすると勝ちなのだ。それを聞いておらんかったわ。

与力ちと前のめりに戦場へ飛び込み過ぎましたかね。我々が勝つためには、「ボード上に配置されている6枚の試練カードのうち、4枚を解決する」必要があります。

奉行ふむむむ。つまり、遭遇カードを蹴散らして試練カードを開いて、その条件を満たすというのが流れになるか。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
こんなのがチラチラします。

与力遭遇カードを解決する…つまり、敵を沢山倒して、報酬やボーナスを沢山もらっていくと、自然と試練カードは解決する感じですので、結局のところはいかに効率的に怪物を倒していくかという部分に主眼を置くことになりますかね。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
敵の攻撃力以上の攻撃カードを出していくことが大切。

奉行まあこうすんなり倒せるのであればよいけどもさ。さっき攻撃力二桁の敵とかおったぞ。

与力そこで「共同攻撃だ!」ってことになるんですね。同じ場所にいる勇者は、別の勇者の攻撃時に手札を出して援護することができます。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
こんな暴力的なアイテムで倒す手もありますが、アイテムは基本使い切り。

奉行ではまとまって行動することが大切か…。

与力なので、実は「移動」アクションでは、自分以外の勇者を自分の所に連れてくるとか、一緒に連れていくとかに、移動のポイントを割り振ることができるんです。

奉行あー、“移動3”なんかは、3回移動する以外の使い道がしっかりあるのだな。

与力そうです。なんやかんやうまくやっていくと、意外とサクッと状況が変化したりするみたいなんですよ。妙手を目指して色々うまく組み合わせて、城を奪還したいですね。

奉行逆に、どうなると負けだ?

与力物語カードを使い切って、誰かが休息アクションを選ばざるを得なくなったら敗北です。

奉行2人なら単純に5回ずつ手札を使い切ったらカラータイマーが鳴るというところか。気を付けねばならぬのう。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
結果的には試練を4枚クリアして、無事アンドールの伝説はつながりました。

『アンドールの伝説 リートブルク攻城戦』【ここがイカス!】

奉行シンプルなゲームでありつつ、アンドールらしさも感じられて、総じてうまく目先を変えることに成功したゲームであるという印象。

与力お、だいぶ褒めておられますね。

奉行やることは戦闘に集中している。そしてプレイはカード出してアイコンどれか選んで解決。手札使い切ったら回収で敵追加。できることがハッキリしているので迷うことが無い。

与力何ができるかできないのかも一目瞭然ですしね。

奉行かといって単純すぎるかっていうとそうでもなくて、これは『パンデミック』もそうだけど、プレイヤーごとに担当している勇者の得意分野が少しずつ違って設定されているから、自然と棲み分け、分業が発生してくるのよね、そこでうまい行動の組み合わせを目指して相談が発生する。

与力「誰に何ができて、そうすると次にどうなるか」の相談は協力ゲームの醍醐味ですね。

奉行そう。それに勇者の組み合わせによって勝ち筋もだいぶ変化するから、そこも面白みの一つになる。

与力キャラが立っているのは、キャラゲーにとって非常に大切です。

奉行それから「時間をかけ過ぎると状況が悪化する物語カード」「霧のむこうに何があるのか遭遇カード」「強い敵には共同攻撃だ!」といったアンドール的要素がしっかり盛り込まれていて、ミニアンドールとしての主張もしっかりしているよ。

与力テーマが乗っかっているだけではないということですかね。

奉行そんな訳で、短時間で終わる協力ゲームを探している人、アンドールの世界を網羅したい人なんかには特におすすめのゲームと言えると思うな。

『アンドールの伝説 リートブルク攻城戦』【ここはちょっと…】

奉行井戸水が飲めない。

与力いいでしょ、水は。ソーンがタプタプになれないくらいですよ。

奉行難点を言えばそうじゃなあ。ちとめくり運に左右され過ぎるってところかな。例えば「同盟者カードを3枚持っているとクリア」みたいな試練カードが出てきても、そもそも同盟者カードをくれる敵が出てこないとどうにもならん。

与力試練カードと遭遇カードの出現の仕方次第で、難易度が乱高下するってことですかね。

奉行それもあって6枚中の4枚という勝利条件なんだろうがな。とはいえ遭遇カードはコントロールできんしね。ある程度見切り発車でとにかく敵をどんどん倒してカードをどんどんめくろう!という「やっちゃえ、日産」精神みたいな腹のくくり方ができないと、手詰まり感の方が強く感じられて、ストレスになるかもな。

与力“良いも悪いもカード次第”を忘れてはいけないんですね。

奉行ボードの状況に対してその時その時で最適手を探していく発想で戦えばいいのかもね。中長期的な戦略を立てたい人には、ちょっと物足りないかもね、そのハック&スラッシュ的な部分は。

与力ともかくそういうゲームなんだ、と。

奉行あとはアイコンの意味合いじゃな。説明書に解説があるが、初めてから2、3回遊ぶ人向けに、別に一覧表とか用意した方がいいかもね。

与力アイコンで全部説明してくれるゲームは、慣れるまでが大変なんですよね。慣れちゃうと超快適なんですけど。

奉行因みに、「難しいよ」「簡単だよ」という人向けに難易度調整ができたりするし、さっき指摘した「同盟者こないよ」問題も、公式サポートページで公開されているミニ拡張で解決できたりする。こういう細かいところまで気を遣ってくれていることは指摘しておこうか。

与力ですね。あと、協力ゲームは基本「手番プレイヤーに意思決定権がある」ということをお忘れなく、という説明書の赤字注記が大切ですね。

奉行奉行問題というやつだな。これは避けようがないし、それゆえに向き不向きがハッキリするジャンルでもあるんだよな、協力ゲームは。このゲームもシステム的に奉行問題を解決しようとしてはいないと思うので、そこに引っかかりを感じておられる方は注意が必要であろう。

アンドールの伝説 リートブルク攻城戦
物語カードを使い切ると姿を現し、飛来する竜。

奉行片づけ中にようやくまじまじと見たわけだが、このマーガスが城に飛来するから敗北するということか。

与力それは『ルーンバウンド』ですね。

奉行じゃあ、閃光玉で叩き落としてしまえばいいんじゃないか?

与力大空の王者の風格はありますが、リオレウスでもないです。