美術大戦 モナリザvs牛乳を注ぐ女vsサトゥルヌス(ボードゲームプレイ感想編)

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『美術大戦 モナリザvs牛乳を注ぐ女vsサトゥルヌス』を遊んでみた

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【登場人物】

奉行藩の決裁担当。好きな画家は?「全然詳しくないんだが、フェルメールの光の感じは、はっとさせられるよなあ」

与力藩の買掛担当。好きな画家は?「『夜警』の雰囲気が好きなので、してみるとレンブラントになりますかねえ」

天体衝突などによって作られる地形

奉行キュレーター。きゅるきゅる。

与力まさかクレーターってボケてるんじゃないですよね? キュレーターというのは、博物館や美術館の専門管理職ですかね、平たく言うと。展示会とかの企画運営とかをされる方のことを指すようです。

奉行学芸員と呼ばれる方々のことなのか?

与力うーん、どうも日本と海外ではそこら辺の定義というか、実情がすこし食い違っているらしいです。私もよくは存じ上げないので、どなたか有識者のご教示を受けたいところですね。

奉行そうか、よし。ではそこは置いておいて、ゲームの準備をしようではないか。

まず美術館カードの準備から始めます。8枚の美術館カードをよく混ぜ、3枚を表にして場に並べます。残りはまとめて山札とします。
各プレイヤーはギャラリーボード2枚と、8種類のテーマごとに分けられた通常カードから、2テーマを選択し、受け取ります。カードは受け取ったら裏向きにしてよく混ぜ、山札として自分の前に置いておきます。これが自分のデッキです。その後、デッキから5枚を引いて最初の手札を準備したら、ゲームを開始します。

美術大戦 モナリザvs牛乳を注ぐ女vsサトゥルヌス
テーマ選びが勝敗のカギを握る。

奉行あー…扱うのが得意な絵画が、プレイヤーごとに決まるのだな。

与力そうですね。なお、2人プレイの時は、1人あたり3テーマを選んでデッキを作りますよ。

奉行1テーマ16枚じゃな。ん、これ、構成がちょっとずつ違うんじゃな。

与力そうですね。カードは美術館に飾る「絵画カード」と、特殊効果を挿入する「キュレーションカード」に分かれますが、テーマごとにそれぞれの枚数は異なっていますね。

奉行どれを選ぶかで、デッキの内容が変化してくるということなのだな。そういう要素があるのか…。

バイオレンスキュレーテイングバトル ファイッ

奉行で、我々はキュレーターってことだが、目的はなんだね。

与力美術館に絵画を展示して集客に成功すると、得点がもらえます。15点集めると勝利です。

奉行芸術に勝ち負けがあるのかどうかは不明だが、名キュレーターとして足跡を刻め、的な理解でよいのかな。

与力で、ルール自体は面倒なことはないんですよね。自分の手番では「絵画カードを展示する」「キュレーションカードを使用する」の両方を好きな順に1回ずつできますよ、というだけなので。

奉行手札を2枚まで使えるってことだな。

与力まずは展示から。好きな美術館カードを選び、そこに誰が置いたものか分かるように絵画カードを配置します。4人プレイ時には美術館の四隅に置くように推奨されていますね。

美術大戦 モナリザvs牛乳を注ぐ女vsサトゥルヌス
与力が配置したナポレオン像。ナポレオン?

奉行うん、難しいことはない…いや? ん?

与力はい。各絵画カードには、それぞれ特殊効果が設定されています。うまくそれを発動できるように展示を行いたい、という塩梅なのですね。

奉行どう組み合わせて配置していくかなのか。将来的にこの効果を使いたいからこう置いて…絵の面白さばかりに目を奪われてはいかんな、これは!

奉行が配置した叫びっぽい絵。

奉行テーマごとに特殊効果に特徴があるのだな。ムンクは手札を増やしたり、展示を一気に展開するのに向いている。お主のナポレオンは、別の美術館に作品が移動すると何かしら起こせるといったところか…。

与力これら展示されているカードの効果は、自分の手番中であれば使用することができます。

奉行うむむ、実はコンボゲーなのか? 展示が増えてくると、一手が重くなりそうじゃなあ。

一方、こちらはキュレーションカード。

与力キュレーションカードは、基本的に1回使い切りの特殊効果をねじ込むカードですね。追加展示をするとか、展示されている絵画を美術館からどけるとか、いろいろです。

奉行こういった効果も挟みつつ、絵画の効果を発動させつつ…組み合わせに悩むー!

与力カードを出し終えましたら、そこで集客数チェックということで、美術館の状態を確認します。

芸術のオーバーフロー

大挙してムンクが押し寄せたメトロポリタン。

与力美術館カードの左上、カメラアイコンの隣に書かれている数字が、その美術館の「定員数」となっています。各美術館に展示されているカードの右下の「集客力」をすべて合計し、定員数を集客力が上回っていたら、その美術館は満員になり、「絵画の獲得」に移ります。

奉行もらってしまってよいのか、この名画を…。

与力満員になった美術館に絵画を展示しているプレイヤーの中から、集客力合計の高いプレイヤー3人までが、展示されている中から好きな絵画カードを獲得し、自分のギャラリーボードの上に置きます。これがこの集客力が得点になる訳ですね。

奉行ふむふむ、ここは他人が高めの絵画カードを出していれば、そっちを取ってもよい訳か。

与力そして展示した絵画の集客力合計が最も高かったプレイヤーが、美術館カードをも獲得できます。こちらは右下の数字が得点になります。

奉行では、ギャラリーボード上に獲得した絵画の集客力と、美術館カードの得点を合計して15点になったら勝ち、ということになるのだな。

与力左様でございます。

奉行…しかし、特殊効果を次々と使っていくと、手札が増えたり減ったり、結構出入りがあるな。

与力美術館カードの状態確認が終わったら、カードドローになりますので、ここで手札が補充できますが、上限は10枚なので、11枚以上になったら10枚になるように捨てましょう。

奉行ふむ。起きるかどうか分からんが、デッキを使い切ったら捨て札をシャッフルして戻すのか?

与力いえ、デッキが尽きたらそのままです。以後、新たなカードを引くことはできなくなりますので、その点はご注意を。

奉行おお、そうなるのか。では使いすぎには十分注意せねばいかんな。

最優秀キュレーターとなった奉行のギャラリー。どうあれ、ひどいの一言。

与力改めて説明してみると、ルール部分はあっさりでしたね。

奉行実際、ゲームの本体になってくるのはカードの効果だからな。それは1枚ずつ製品を見ていただくことになるわな。

『美術大戦』【ここがイカス!】

奉行絵がな。すごいな。全部をご紹介はできんので、我々の唖然茫然という感情は、ぜひ実物をお手に取ってご覧くださいと申し上げざるを得ないのだが。

与力名画が1枚ずつ魔改造されているんですけど、実に手が込んでいますよね。

奉行このサイズだと、一瞬違和感なく1枚の絵だと思ってしまうのよ。よく見ると完全になんだそりゃ、って絵しか無いんだが。

与力やりすぎぐらいで丁度いい、ってところなんでしょうか。

奉行すごくそういうこだわりは感じるよね。絵ごとに付けられたタイトルの言葉選びも面白いし、これを見ているだけで笑える。

与力完成された笑いが提供されましたね。

奉行そうね。あり得ない組み合わせを探そう!ではなくなったのが驚きだったな。我々は『サメマゲドン』以来、Azb.Studioさんのゲームはお久しぶりの邂逅ではあったが。

与力『ソクラテスラ』のインパクトがあまりにも強烈でしたからね。それで、ゲームとしてはどうですか。

奉行これはあれだね。完成されたデッキを持って戦うタイプのゲーム…デッキビルディングではないな。『ブルームーン』とかに近いタイプって言ってもいいんだろうか。

与力テーマ1つでデッキが完成しないところに妙味が感じられると思います。

奉行確かに。どのテーマ同士だと能力のかみ合わせがしっくりくるのか、研究の余地は大分あろうかと思う。勝ちを狙うのであれば、歯ごたえのあるゲームになっているのではないかな。

『美術大戦』【ここはちょっと…】

奉行ただまあ、カード効果のオンパレードになるので、初見からある程度慣れるまで、ゲームの見通しは大変よろしくないのではないか。「えっ、そんなことができんの!?」みたいな事態になりがちだった。

与力つかみが非常に強い見た目とは正反対なところはありますね。しっかり習熟しないとっていう。

奉行そうだな。この効果がきて、これがこう発動して…とか、自分の手番の時に効果の確認と適用が長くなっていたな。効果の組み合わせ次第で色々起きるからな。

与力効果を見落としてしまったり、あるいは「ここまで適用しちゃっていいの!?」みたいになることもありましたね。

奉行次々と追加展示ができていったりすると、正しいプレイをしているか不安にならなくはない。その辺を含めても、上手い人のプレイを拝見したいなと思った。

与力そうですね。真面目にどうデッキを組んで使うのがよいのか、純粋に見たいです。実は意外と瞬殺コンボみたいなのが隠れていたりして。

奉行あとあれな、満員かどうかの確認をするとき、集客力の合計がごっちゃになる。展示している絵画の効果は見えないとダメだから、集客力の部分だけ見えるようには重ねてはおきづらいとか、特殊効果で「展示枚数1枚につき+1」みたいなのが出てきてしまうと暗算が大変とか、色々重なるんだよな。ぱっと見で今何点だな、が分かりづらいのはちょっと辛いかも。

与力カウンターに類するもので3か所の集客力の現在値を表示できるようにしておくと、プレイ感が向上するかもしれません。

奉行うん、ともかくインパクトのある見た目とは裏腹に、やりこみ対戦系のカードゲームだと思うな。単なる面白ゲームと位置づけず、繰り返し遊んで最優秀キュレーターへの最善手を模索してみたいものだ。

奉行お気に入り。フェルメールっぽい絵。

奉行役に立つのよね、このスラッガーは。展示が無茶苦茶増えやすくなる。

与力かなり長いバットを持っていますよね。フォーム自体は意外とコンパクトにまとめているようにも見えます。しかし、この絵の少女にバットを持たせようという発想が出てこないですよね、凡人には。

奉行そらそうよ。

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