クイーンドミノ 原題『Queendomino』を遊んでみた
ドミノで作る至高の千年王国、再び
奉行ふうむ、『キングドミノ』と比べると、ずいぶんと中身が増えたな。ゴチャッとしていなければ良いが……。
与力見た目には相当新しいものが追加されていますからねえ。ただ、基本となるルールは変わらないです。
奉行という訳で、我々の『キングドミノ』のプレイぶりもご覧いただければ、何かしら参考になるやもしれぬ。
ゲームの準備です。まず、箱にランダムにドミノを入れ、そこから4枚とり出して並べ、最初の列を作ります。各プレイヤーの国王駒をルールに従って、並べられたドミノの上に置いていきます。
奉行ドミノは数字が書いてある面を向けて取り出し、昇順に並べる。で、地形が描かれている面を表にしていくのであったな。
与力はい。数字の大きいドミノほど、価値が大きくなりそうなのですが、プレイは小さい数字のドミノを選んだ人から始めますし、次にどのドミノを選ぶのかを選択する権利は、プレイした順に得られますので……。
奉行要は「先手を取っていれば次は良いドミノを指名する権利」が得られ、「良いドミノを指名していれば、次は残りドミノを取らされる」可能性が高くなる、ということであったよな。
与力そうです。なんか、ちょっとドラフト会議みたいですね。
『クイーンドミノ』では、さらに幾つかの準備を行います。建築士ボードをテーブル中央に置き、そこによく混ぜた建物タイルを積み重ね、上から6枚とって、ボードの所定の位置に置きます。ドラゴン駒は、ボードの一番左側に描かれている洞窟の上に置いておきます。残りのトークン類は、それぞれまとめてボードの側に置きます。
奉行これ、塔か。一瞬、スパナに見えたわ。
与力スパナだとしたら、一体何の役に立つんですか。
奉行そうさな、やはりボルトやナットを締めるのであろうな。
最後に、各プレイヤーは騎士駒1個、7コインを受け取ります。これで準備は完了です。
与力スタートタイルと城、国王駒は変わらず、です。
奉行2人プレイゆえに、国王駒は2個用いることになっておるぞ。
森も生かせるのです
『クイーンドミノ』も、『キングドミノ』同様に、最も高い名声点を得られる領地を作ったプレイヤーが勝利となります。
奉行「ドミノを取る、そして次の列のドミノの上に駒を乗せる」の繰り返しは、そのままだな。
与力はい。で、「同じ地形のドミノを上手くつないで広げて、その中に王冠マークが沢山含まれていると高得点」というのは変化無しなんです。
奉行つまり、積極的に王冠マークの付いたドミノを確保するのが勝つためには重要であったよな。
与力それを少し変えるのが、新しく出来るようになった行動ですね。それぞれ、任意の行動なので、自分の手番の時にやってもやらなくてもいいです。
①街の建設
ドミノにオレンジ色で描かれている町マスは、そのままでは特に何のメリットももたらしません。ただ、このマスの上には、建築士ボードの上に並んでいる建物タイルを購入して配置し、特別な効果を発揮させることができるのです。
奉行ほう? ……ふむふむ、色々な効果があるようだが……建築タイルを配置すると、得点する手段が増える、と考えておくと良さそうだな?
与力そうですね、写真の建物タイルであれば、「町マス1つにつき、名声点を2点貰える」効果となります。
奉行なるほど。つまり、発展してきた自分の領地を見て、高得点になりそうな土地から勝利点が得られる建物タイルを置いていくと、どんどんと名声点は積みあがっていく訳か。
与力はい。つまり、自分の領地に合わせて得点の仕方をカスタマイズできる、ということですかね。
奉行ちなみにだ、建物タイルの灰色の面は、左上に何か描かれていたりするが、これはなんだ。
与力それはタイルを手に入れた時に発動する効果ですね。「騎士駒」か「塔駒」が手に入ります。
与力各建物タイルの下に描かれているのが、必要なコインです。
奉行む、金子か。最初の7コインでは足るまい。金策はどうすればよいのだ。
与力そりゃこっちは領地の支配者なんですから、徴税です。年貢を納めてもらいましょう。ここで騎士が役に立ちますよ。
②徴税
プレイヤーは自分の手番に、手元に騎士駒があれば、領地へ派遣して徴税を行うことが可能です。騎士駒は2つまで配置することができ、ゲーム終了までその場にとどまります。
与力騎士は、配置されたマスにつながっている同じ地形マスの数だけ、コインを取り立ててきます。
奉行ふむ、暫定の得点計算みたいな形じゃな。
与力ただし、騎士駒は配置した直後のドミノにしか置くことができないです。広くなっている所に後で置こう、てなことはできませんね。
奉行ということは、ドミノを置く時にそこも考えておかねばならぬか。
③ドラゴン
ラウンド中、ドラゴンがまだ洞窟にいる時に限り、建築士ボード上の任意の建物タイルの上に動かし、破壊することができます。
奉行ふっ、これはわしの得意技だな。相手の邪魔をするのは得手としておる。
与力建物タイルの入れ替えにも使える訳ですよ……。注意点は1つだけ、1ラウンド中にこれができるのは、1回だけということです。ラウンドが更新されると、ドラゴンは巣の洞窟に戻りますので、また使えるようになります。
奉行毎ラウンド早い者勝ち、ということか。ドラゴンでありながら撃龍槍のようなやつじゃな。
以上を繰り返し、5×5マス(2人プレイの場合には7×7マス)の範囲内で王国を作っていきます。ドミノは48枚ですので、12ラウンドが経過したら得点計算を行い、最も名声点が高いプレイヤーが勝利します。
奉行何点の領地になったであろうか……やはりメモを使わぬとならぬな。
与力ですねえ。建物タイルがどのマスを得点にしてくれているのか、1つずつ見ていかないと、です。それにコインや、場合によっては騎士、塔も点になりますしね。
奉行ええっと……あ、ところでだ。塔駒を一番持っているプレイヤーがこの女王駒を持っていられる、ということでわしがずっと持っておったのだが。
与力はい、このゲームの看板とも言える女王ですね。塔駒数トップが変動すると、即座に女王は移動しますが、今回はずっとお奉行のところにいましたね。
奉行彼女は何の役に立っていたのであろうか。
与力説明を忘れてました。女王駒の保有者は、建物タイルを購入するときの金額が1安くなります。それから得点計算の時に、任意のマスに置いて王冠マーク1個として扱うことができますよ。
奉行なんと。わしは買い物の際に常に1多く払っておったか……。
与力あ、私がお釣りでちゃんと修正していたから大丈夫です。
得点計算の結果、7×7をきちんと埋められなかった与力を抑えて、奉行の勝利となりました。
『クイーンドミノ』【ここがイカス!】
奉行うん、『キングドミノ』はいいゲームだったが、あっさり味付けであった。そのちょっとした物足りなさが、リプレイ性の高さにつながっていたとも言える。実際、わしも相当好きなゲームだ。
与力はあ。
奉行だが、プレイし終えてみると『クイーンドミノ』の方が、わしは満足感は高かった。
与力ほほう、それはやはり建物タイル要素ですか。相当考え込んでましたもんね。
奉行そうさな、町造りは大好きじゃからな。それと、建物のおかげで、自分の領地に自分で意味を持たせられるのが嬉しい。
与力領地形成のプランが色々立てられますよね。
奉行うむ。建物獲得の仕方によって如何様にも領地を活かせるゆえに、プレイ中の方向修正がしやすいし、面白い。元のゲームがシンプルであったし、このくらいのルール追加があって、わしはちょうど良いゲームになった、と感じたぞ。
与力追加要素が、実に良いバランスで加わってますよね。
『クイーンドミノ』【ここはちょっと……】
奉行建物の獲得や破壊次第で勝負が大きく分れるように思うので、突き詰めて考えるプレイヤーは、ここで長考に入るやもしれぬ。という点では「めっちゃ考えに考えるスタイル系」のガチプレイヤーがいた場合、25分で収まるのか?という気もするな。
与力勝つためにはやむを得ぬところではあります。
奉行ま、言ってしまえばそうじゃな。あともう一つ、自由度が高くなっているというのは、すなわちそこをしっかり考えられぬと、十分に楽しめなくなる点でもある。
与力つまり、建物タイルをどう配置していくかはしっかり考えないと、ということですね。
奉行左様。適当に建物を買っても中々高得点は得られまい。プランが大切だ。その辺り、ルール量というより遊ぶ労力という点でお手軽さは相当減少した、と感じる方もおられるやもしれぬ。
与力まあでも、我々のように、ある程度ボードゲームに慣れている人なら……。
奉行うむ、つまり大切なのは、気分やメンバーに合わせて『キングドミノ』と『クイーンドミノ』の遊び分け、ということなのであろう、と思う奉行であった。
与力唐突に、よくある時代劇みたいな〆をしましたね。しかも割といつも言ってることなのに。
奉行なんだか与力の当たりが強い、と嘆く奉行であった。
奉行そういえば建物タイルの中に、『黄金の国王像(5点)』が散見されたが……
与力ちょっとだけ『新春かくし芸大会』の銅像を思い出しました。
奉行国王が全身金色に塗って立ち、国民にバケツで水をぶっかけられたりするのか。