鈍器の特典をつける予定…はありません
箱がデカいから考えること
与力ここからは、サイズの話をしましょうか。箱の大きさについて。
店長物理的なサイズですね。はい。
与力『マウンテンキング』は、リゴレのゲームとしては、格段にデカくなりましたね。
店長デカくなりましたね。この話は、出版とか卸やっているところはみんな分かってくれると思いまけど、120サイズの段ボールというのが基準になるんですよ。箱の縦・横・奥行きを合計した数字ですね。だから、一律同形にはならないんですけど、120サイズを配送すると、送料がだいたい1,200円くらいになります。
与力ふむ、実に具体的な数字がでてきましたね。
店長それで「120サイズに何個入るか?」というのが、まず考えることなんですね。例えば、『ワードスナイパー』は180個入るんですよ。
与力120サイズに、180個入る。
店長だから、卸だとすると、「1箱(=180個)送りますね」みたいな話になってくる。箱単位で話をする訳です。ところが、『マウンテンキング』は6個しか入らないんですよ。
与力わあ、180対6(笑)。
店長特に『ワードスナイパー』は小さいから、一般的な小箱ゲームのアミーゴサイズだと……90対6とか100対6とか、まあそんな感じじゃないかなあ、とは思うんですけど。ともかく、『ワードスナイパー』比で言うと、『マウンテンキング』は30倍なんですね、送料と保管にかかる費用が(笑)。
与力ビックリしますね、そこまでくると。
店長それと、日本語版作成ということになると、ある程度まとまった数を製作するんですね。で、今回、計算してみるとうちのお店の半分埋まるんですよ、『マウンテンキング』で。デカい箱のゲームは、そういうところが大変だなあって、初めてリアルに分かってきました。
与力お店の半分はリアルに仰け反ります。物理的なデカさってすごいんですね。
店長だから、コストの種類増えてきますよね。保管費というのが浮上してきます。
与力それは今までになかった概念ですか。
店長そうですね。今言ったように、120サイズにワードスナイパー180個入るってことは、段ボール10箱あれば1800個入る訳ですよ。結構入りますよね。でも、今回は段ボール何箱になるんだい?ということ(笑)。なので、物流倉庫を月極で借りる、ということになりましたね。
与力今回は、そういうこともしながら、発売に備える形になった訳ですね。
店長はい。まあでも、出版社というのは、どこもその道を通っていると思うので、そこは経験してみたいな、っていうのはありましたね。
与力なるほど。
店長「頑張って家に詰め込むか……」って考えも無くは無いんですけど、奥さんに離婚されてもイヤですから(笑)。
与力(笑)。時々、何かが詰まった段ボール箱で自宅内が埋まっている写真を拝見することもありますが、限度がありますね。
店長そう、その辺についてはいろんな伝説がゲームデザイナーにはある、と聞きますけどもね。しかし日常生活で積まれた段ボール見ると、心病みますからね。
与力確かにそうですよね。その上で離婚なんてことになったら、「愛などいらぬ!」って、段ボール箱で聖帝十字陵を作っちゃいますよ。
店長血が礎となるのだ、ってやつですね(笑)。段ボールどかすと師匠のミイラが(笑)。
与力店長、誰に倒されるんですかね(笑)。
店長(笑)。そういう感じで。まあ売れてくれればいいですね。保管の悩みが遠のきますんで。
具体的なゲーム内容など
与力それでは最後になってしまいましたが、『マウンテンキング』の具体的な内容についてお話しておこうかと思うんですけれども、店長としては、どういったゲームである、とまとめておられるんでしょうか。
店長はい。資源管理をしながら、タイルをつなげるタイル配置ゲームです。そのタイルを配置する、というアクションの中に、“多少の”陣取り要素と、ルートビルディングの要素が有る。だから、まとめると、「タイルでルートを作って、物運ぶ」というゲームですね。そこに資源管理が絡むと。
与力これはちょっとゲーム慣れしてる方向けの内容っぽいですね。
店長そうですね。資源管理が絡んでくると、1つ上級者向けにはなってきますね。だから、「簡単なゲームです」って売り方はしないですね。“エキスパート”ってロゴを今回つけてみようかな、と思ってます。
与力先ほどプレイエイドをつけるよ、ってお話のところでもありましたが、ある程度ゲームをプレイする上では、プレイヤーが計画性をもって臨むことが重要になってくるタイプなんでしょうか。
店長そうですね。やりたいことが沢山でてきますし、かつ、そこに資源管理がついて回りますんで。
与力なるほど。ではプレイヤーインタラクション、プレイヤー間の干渉という要素は、そんなに大きくなさそうですか?
店長そうですね、5人、4人、3人でのプレイの感想を今のところ聞かせてもらっていますが、盤面の取り合いというか、人の通路の上に通路は置けない、というような制約ですとか、有限な得点源の取り合いは多少発生しますね。特に5人用になると、単純に盤面が狭くなるから、結構ボードの隅っこにおいやられるプレイヤーも出てきます。ですが、そこからも挽回の手段があります。
与力そういうデザインになっているんですね。
店長なので、インタラクションということで言うと、盤面上の面積的なインタラクションがまずありますが、むしろ『宝石の煌き』的といいますか、「目の前に並んでいるものを早く取らないと無くなっちゃうよ」という早い者勝ちの要素、インタラクションが強いかもしれないですね。
与力1つのボードをプレイヤーみんなで囲んで、そこにそれぞれの要素を入れていくわけだから、どうしても狙いが外れてしまうことがある。でも、狙い通りうまくいけば気分がいいかもしれない、という感じでしょうか。
店長ただ、あまりにもえげつないプレイが発生しなくても十分に面白いから、2人でやっても大丈夫かもしれないですね。
与力ルートビルディングは人数多い方が……という認識も有るかとは思いますが。
店長そうですよね。でも、『マウンテンキング』はルートビルディングのところよりも、“この地点でこれを取る”みたいな……「これを取っちゃうと、この人もうこれは取れなくなる」みたいなのあるんですよね、システム的に。それの方が大きいかもしれないですね。
与力なるほど。
店長あと、大広間は早い者勝ちとか、そっちの部分がやっぱり大きいかもしれないです。
与力あと、手元にトロールで大群をつくって資源を生みだす方法も、独特ですね。
店長あれ面白いですね。あれ見た時に「いいなあ」と思いました。いろんな要素があって、色々できるゲームですね。勝ちを目指して。
与力なるほど。ところでちょっとセンシティブな話をしてもよろしいでしょうか。
店長おっと、なんでしょうか。
与力キックスターターで『マウンテンキング』のプロジェクトが進んでいた時のストレッチゴールで、豪華コンポーネントがつきますよ、というのをやっていましたよね。デラックス版でしたか。でも今回は、デラックス版では無くて、スタンダード版を出版される訳ですね。
店長その話ですね。一番難しかったところですが、実は色々メーカーさんとも調整してみたんです。ただ、キックスターター版のゲームの宿命なんですけど、一般販売までは考慮の外なんですね。
与力ははあ、なるほど。
店長スタンダードエディションとデラックス版はやっぱり差があって当然なんですよね。それを仮に全部再現しようとすると、価格が軽く1万超えちゃうんですよ。それは流石にちょっと良くないな、と思いまして。
与力高価格はハードルを上げますね、確かに。
店長出来る限り安く届けたくて。今までのゲームもそうだったんですが、『マウンテンキング』も手を出しやすい値段にしたいろいう調整ゆえに、デラックス版にはなりません。ただ、そのバージョンが欲しい、という人が出てくる可能性もあるので、それはちょっと頑張って調整中。
与力先方との話し合いですね。
店長例えばパワーアップキットを別売りで売って、中身入れ替えればデラックス版で遊べるよ、というのが落としどころに思えるんですが、BURNT ISLANDさんが、デラックス版のパーツをもうストックしてないんですよ。だから、なかなか難航するかとは思います。。
与力できたらやりたいけど、現実的には難しい、ということですね。
店長日本語版以外の他言語版が出版されて、その時にパワーアップキットとしてデラックス版のパーツを用意しよう、みたいな話が浮上すれば、一緒にお願いします、という可能性は残りますが。
与力なるほど。基本はキックスターターのストレッチゴールというのは、やっぱりキックした人の特典ですからね。
店長でも、確かに豪華なんですよね、やたらと。だからこそ、パワーアップキット作るにしても、5,000円くらいになっちゃうんじゃないかなあ……と思います。
与力下手するとゲームがもう1個買えるんじゃないか、というレベルですね。
店長ちなみにスタンダード版の木の彫像も非常に可愛いので、よろしくお願いします。
与力あとは、販売開始の目標はどのくらいになってますでしょうか。
店長そうですね。多分9月ですね、結論からいうと。むこうの社長とは「8月に行けるよ」って言ってたんですけど、2ヶ月遅れましたんでね…。
与力お金がどこかを漂っていたりしたせいで。
店長大西洋の上をさまよっていたんでしょうね。あれは誰も責められないですからね。
与力見つかって良かったです。ともあれ、目標は9月発売ですね。(編集注:インタビュー時点)
店長9月には発売したいですね。秋口位には確実に店頭に並ぶようにしたいです。
与力9月にはみんなでトロールになろう!と。ちなみに、リゴレでは真のトロール向けにイイ感じの棍棒とか同時発売するんです?
店長それはしないですね、絶対に(笑)。
発売日についてはインタビュー時のもので、2020年12月現在、販売開始済ではありますが、今度はなんとほぼ完売状態とのこと。皆さまどうぞご予約の上、”山の王”を目指してください!
https://twitter.com/rigoler_/status/1335858809932296194
今回も取材にご協力いただいた青葉新館さまでは、通常の営業の他、各種テイクアウトメニューも取り揃えておられます。みなさま、是非ご利用くださいませ。