『ザ・クルー 第9惑星の探索』を遊んでみた
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奉行藩の決裁担当。宇宙に行ったらやってみたいことは?「ふよふよと漂う水を食べるやつ、やってみたいよなあ」
与力藩の買掛担当。宇宙に行ったらやってみたいことは?「キャッチボールですね」
第9惑星って…
奉行遊ぶ前に質問なのだが、副題にある“第9惑星”というのは、なにかね。冥王星とは違うのかね。
与力えっとですね、2014年に「そういう天体があるはず」という仮説が発表された“プラネット・ナイン”と呼ばれる理論上の惑星らしいです。
奉行あ、それを探しに行くってのが、このゲームのテーマな訳ね。
与力です。有人ミッションというのは、なかなか実現が難しいだろうと思いますが、ゲームではそれに挑んでいこう、と。そんな塩梅です。
奉行よし分かった。じゃあルールの説明をしてくれ。
ゲームを始めるためには、まず次のように準備を行います。40枚のプレイングカードをよく混ぜ、裏向きで乗組員に全て配布します。
無線通信コマ、リマインダーカードを各プレイヤーに配布し、救難信号コマは裏向きにして置いておきます。
36枚のタスクカードを良く混ぜ、裏向きにして山札にします。タスクコマはまとめてそのそばに置きます。これで準備は完了です。
宇宙の共同作業
奉行ふむ、これだけだと、協力ゲームだと言われてもよく分からんな。
与力はい、そこでポイントになってくるのが、ログブックになります。
奉行おお、説明書の裏表紙から始まっているやつだな。
『ザ・クルー』は、第9惑星を探索する宇宙飛行士たちの奮闘を、連続した50のミッションで表現したゲームです。つまり、50の異なる勝利条件を満たせるように、プレイヤーたちはトリックテイキングゲームに挑むという訳です。
奉行はーん、「このカードを誰それに取らせろ」とか「1人は1回も勝つな」とか、そんな感じの縛りでトリックテイキングをしていくのか。
与力そうです。大体の場合は、ミッションごとに使うタスクカードの枚数が指定されています。で、各プレイヤーに割り振られますんで、そのカードで指定された色・数字のプレイングカードを取りましょう、っていうのが基本ですね。
奉行なるほどなあ。で、タスクで指定されたプレイングカードが、別のプレイヤーの所に行ってしまったらミッション失敗になる訳か。で、タスクカードはどうやって割り振るのだ?
与力基本は、各ミッションの司令官プレイヤーから時計回りに1枚ずつ選びます。司令官というのは、「ロケットの4」のプレイングカードを持っているプレイヤーです。
司令官役はミッションごとに交代します。司令官の役割は3つで、タスクカードの選択を始めること、最初のトリックを始めるためにプレイングカードを出すこと、そしてミッションごとに「司令官はこうすること」という指示が有れば、その通りにすることです。
与力なので、ゲームの流れとしては、①ミッションの選択、②準備をする、③司令官からタスクカードを選ぶ。他に何か指示が有れば処理する、④司令官が1枚目のプレイングカードを出す。ということです。
奉行で、タスクカードで指示されたプレイングカードを取れるように各自頑張ってトリックテイキングを続ける、と。
与力はい。で、基本はシンプルなマストフォローのトリックテイキングです。1枚目のカードとして出されたカードと同じ色のカードが手札にあれば、その中から任意のカードを出しましょう。無ければ、何色でもいいから出してください、と。
奉行そして全員が1枚ずつ出し終えた後、1枚目の色と同色のカードの中で、最も数字が大きいカードを出した人が、勝者として出されたカードを全部取る(トリックを取る)、ということじゃな。
与力ロケットのカードはいわゆる“切り札”で、場に出せたらトリックを取れます。ですので、有効活用するためには、その他の4色のカードのうち、どれかの色のカードが手元にないといいかもしれない、ってとこですね。
奉行ロケットが複数出た時は、数字が大きい方が勝つのだな。
与力その通りです。1枚目にロケットを出すと、みんなロケットを出さないといけない、ってのも気を付けた方がいいですかね。
よろず宇宙はままならぬ
最初のうち、ミッションは簡単ですが、宇宙探査が進むにつれて制限が厳しくなってきます。その1つの例が、タスクコマです。タスクコマは「タスクをどの順に解決しなければならないか」を指定してきます。
与力もちろん、その指示には従わないといけない訳でしてね。違反したら即座に敗北です。
奉行ふむぅ。プレイヤー側を助けてくれるなにかはないのかね。
与力そうですね。このゲーム、基本的に自分の手札の内容について話すことができないので、色々と厳しくはあります。が、2つの補助が使用できますよ。
奉行役に立つのかね?
与力役立つかどうかは分かりませんが…1つは、「救難信号」です。さっきのタスクカードの下側に移りこんでいたコマが、それですが。
奉行で、どんな救援を受けられるのだね?
与力これはタスクカードの分配後に使用できるのですが、「ロケットを除く任意のプレイングカードを、各自1枚ずつ隣へ回す」ことができます。全員同じ方向に回すので、右か左かは全員で話し合って決めましょう。
奉行なるほど、手札を少しだけ変えられる訳ね。
与力もう1つは「無線通信」です。各プレイヤーがラウンド開始時に渡されている無線通信コマ、これを使って1回だけ自分の手札の1枚が「自分にとってどういう状態か」を伝えることができます。
奉行ん? 何かややこしいな?
与力伝えられるのは、「その色の中で一番大きい数字」「その色の中で一番小さい数字」「唯一のその色のカード」の3種類の情報です。
奉行はあ、何枚持っているかとかは伝えられないのか。
与力あと、この条件に合致していないカードとロケットカードは、無線通信の対象にはならないです。あと、プレイが進んで、手札の内容が変化したとしても、情報を更新して伝えることはできないです。
奉行あくまで、ある時点での状況を伝えるだけ、と。
与力それでも、基本的に手札の内容を伝えられないゲームですから、貴重なコミュニケーション手段ですよ。
奉行確かにな? でもどうせミッションが進むと、「無線通信不可」みたいな制限がかかったりするんだろ?
与力ご明察。宇宙は甘くないです。
奉行おお、こわいこわい。
『ザ・クルー』【ここがイカス!】
奉行詳細なプレイレポートは、お楽しみのミッション内容を具体的に伝えてしまうので、省かせていただくとして、だ。非常にいいゲームだね。
与力賞を取るだけのことはある、という感じですか?
奉行まず、対戦ゲームとしてのイメージが強かったトリックテイキングを、協力ゲームに仕立てている、というのが感心したポイント。自分が取るためのプレイもさることながら、相手に取らせるためには、も同時に考えないといけないのは、面白いプレイ感が味わえた。
与力そうですね。私は“どこで勝つか、あるいはどれだけ勝つか”の調整が要求されるトリックテイキングの亜種って感じました。面白かったです。
奉行次に、意外にもテーマとの親和性が高いんじゃないか。宇宙空間の活動ってのはコミュニケーションも体動かすのも大変だろうと思う。そういう制限された状況を、互いに相手の手を想像して、あるいは信頼してカードのやり取りをすることで再現し、極限に挑む宇宙探査チーム的な体験ができるようになっている…と思うよ。まあNASAで訓練受けたこととかないから、全部想像だけどね。
与力なかなかNASAで訓練を受けた人はいないですからね。そういった意味では次回作が深海探査という、これまた極限に挑むテーマってのも納得かもしれないですね。
奉行まあ、没入感って言った方がいいのかな。それもあって、完全無言の『ザ・マインド』に似たような、集中して遊んでしまえるゲームだった。キャッキャウフフする感じよりは、黙々とミッションに挑んでいく感じ。『5本のキュウリ』とかにも通じるね。あ、やっぱりそう考えると、このゲームはトリックテイキングなんだなあ。
与力奉行好みのゲームばかり並べ立てるということは、超面白かった訳ですね。
奉行うん、早く次をやりたい。あと、2人プレイよりは4人くらいからの方が楽しいかもしれないね。プレイ感も違うだろうし、人口無能くんは悪くはないけども、ちょっと御しがたい部分もあるから。
与力無能にしないでくださいよ、ラッキーJARVISですよ。
『ザ・クルー』【ここはちょっと…】
奉行ちょっとなあ、と思うようなところが見当たらん。それほどいいゲーム。
与力左様ですか。
奉行カードがちょっと柔いところが心配なポイントかな。お値段的なところが要因とは思うが、毎回シャッフルするだけに、耐久性の点で少し気になる。
与力大事に遊びたければスリーブ推奨ですかね。
奉行日本語版はジーピーさんが頑張ってくれているので、遊び倒してボロボロになったら、新しいのをもう1個買う、もアリだとは思うよ。
与力あとは、トリックテイキングへの慣れ、って感じですかね。
奉行あー、苦手意識がある人もいるかもしらんな。確かにちょっと前は、玄人さんが遊び倒すゲームってイメージはあったけども、最近ではゲームマーケットなんかでもトリックテイキングシステムの国産ゲームは増えているし、構えないで遊んでみて欲しいかな。原理さえわかればきっと楽しめるんじゃないかと。
与力習うより慣れよ、ですね。
与力しかしまあ、冥王星に代わる第9惑星ってのはユゴスのことだと思うんですよ、私的にはね。海王星の向こうにある惑星って『闇に囁くもの』で言及されてますし。
奉行どうした、SAN値低下中か? クトゥルフ神話技能が成長したか?
与力あるいは、探査を終えて地球に帰還しようとする宇宙飛行士たちの物語を『ネメシス』に引き継いで遊ぶ、ってのはどうです?
奉行「どうです?」じゃなくて、君は少し寝て落ち着いたらいいんじゃないかな。