レガシーコード The Best版‐日蝕と月の物語‐(ボードゲームプレイ感想?編)

レガシーコード The Best版‐日蝕と月の物語‐

『レガシーコード The Best版‐日蝕と月の物語‐』を遊んで思わず書いた

よくきたな、俺は与力だ。俺は毎月若干の量のゲームレビューを書いているが、逆噴射文法で書いたことはない。だが今回、奉行に約束をすっぽかされた結果、新ジャンルボードゲーム『レガシーコード The Best版』をソロプレイできたので、そのすごさを伝えようとこのスタイルでレビユーを書いてアップロードすることにした。おまえがもしこの構文に面食らっているようなら、まずは本家を読んでこい。

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もちろん読まなくてもかまわない、お前の選択しだいなので好きにしろ。真の男はつねにあらゆる場面で選択を求められる。・・・・・・Yes or No、おまえの意思でどちらかを選べ。なによりそれこそが『レガシーコード』というゲームの本質だと俺は感じたからだ。

目次
・ライトTRPG風協力探索脱出ゲーム
・謎しかない世界
・隣り合わせのダイスと死
・やり残しはないか

ライトTRPG風協力探索脱出ゲーム

おまえはTRPGを知っているか? テーブルトークアールピージー、略してTRPGだ。もしかしたらおまえは知らないかもしれないし、あるいは「テーブルトーク・・・・大の大人がごっこ遊びをして悦に入っているアレだろう・・・・」などと妙な決めつけをしていたりするかもしれないするから、最初に分かりやすくかんたんな説明をしておく。

TRPGは、だいたいどこかファンタジックだったり、宇宙空間だったり、妙にパワフルな神が支配している地球だったり、おまえが行ったことも想像したこともない世界を舞台に人を助けたりダンジョンを攻略したり発狂したりする遊びだ。こうゆうとおまえは「知らない世界・・・・異世界転生とか超能力バトルとか、大の大人がそうゆうごっこ遊びをするんだろう・・・・」とすぐにわかったようなことをいいどうしようもない。

俺が言いたいのは、TRPGは常に常識では対処できない危機の乗り切る決断が連続する遊びだということだ。朝起きてバターコーヒーをのみ、通勤電車にゆられて会社へでかけ、アフター5を楽しみ、そして帰宅後はサブスクを眺めたりスマッホをいじったりして眠りにつく・・・・たまには友人やベイブとなにかあったり、わからずやの上司や取引先の相手をしなければならないかもしれない。だが、その生活の中に炎を吐くドラゴンは現れるか? 宇宙船には本当におまえたち以外にだれも乗っていないか? 道を曲がった瞬間に狂気じみた目のダニートレホがおまえにナイフを突き立てようと飛びかかってくるか? そうゆう普段考えたこともないエマージェンシーがすごい頻度で襲いかかり、極限の緊張下での正しい状況判断が試される真の男のためのゲーム、それがTRPGだ。おまえの選択しだいでゲーム内のおまえの分身はいとも簡単に死を迎える。メキシコでは常にサバイヴ能力が試されるように、TRPGプレイヤーは自分のキャラクターを生き延びさせるためのギリギリの戦いに常に備えていなければならない。

だが、そんな極限バトルにいきなり新規参入するのはハードルが高いだろう。おそらくおまえは俺の話を聞いただけで仮想空間内のサバイバルにビビり、サルーンで酒に溺れ、行きずりのホットなベイブといい仲になり、家を建て、家族を育て、年老い、やがて孫たちに見守られてコーヒー農園で静かな最後を迎えるにちがいない。だがそんなおまえたちだってほんとうは心の奥底に眠る真のおとこを目ざめさせたいはずだ。そうゆう真の男にあこがれるいわばニュービー向けのTRPG、それがライトTRPG風ゲームとしての『レガシーコード』というゲームだ。

協力探索脱出ゲームという部分に関しては、だいたいのTRPGにはそうゆう要素が入っているから、実際に遊んで体感してみろ。俺は戴冠できた。

謎しかない世界

『レガシーコード』というゲームの始まりはこうだ。おまえは一切何も理解できない状況で一人目ざめる。明るい朝の光とかそうゆう爽やかでやさしげな要素は一切存在しない、真の暗闇の中でだ。不思議に思いながら立ち上がるとゴトッとか音を立てて棺のフタが落ちる。どうやら棺おけに閉じ込められていたらしい・・・・おまえの手にはいつのまにか銃・・・・あるいは銃ではない武器が握られており、ここから壮絶なアドベンチャーが始まる予感をかみしめつつ、結局よくわからないまま一歩をふみだす。とにかくおまえはこの世界から脱出しなければならないのだ。

ゲームはマップの上にツリー状に並べられたシナリオカードをめくりながら進めていく。隣り合わせのカードなら大体どれをめくってもいいが、めくるまでは何が起きるかほとんど分からない。カードの右下にある感知度というゲージがなんとなくおまえが生来備えている危機センサーに働きかけてくるかもしれないが、それも完全に頼りになるわけではないことが俺の探索で完全に照明された。だから結局は全ておまえの決断次第だ。

ストーリーは全体的にすごいダークな雰囲気に包まれて展開していく。困ったことに、起きること全てがその都度ひとつ1つ完全かつ丁寧に説明されるわけではないので、何もかもがよくわからない。ひょっとするとTRPGに慣れていないおまえは麺喰らうかもしれない。だが、先へ進めばその謎も明らかになる。もちろん明らかにならないものもある。そうなっていることが逆におまえのこの世界を知りたい欲求と探求心をかき立てるだろう。そのためには探索を続けるしかない。こうして謎と冒険のENDORESU WALTZがはじまる、という仕掛けだ。

隣り合わせのダイスと死

危険な世界には敵がつきものだ。めくったカードからはわりと高確率でおまえに爪や牙、ナイフを突き立てようとする敵が現れる。エンカウント率が高いとかそうゆう泣き言に俺はいっさい聞く耳を持たない。ゆだんはメキシコでは死をまねく。常在戦場・・・・備えよ、常にだ。さいわいおまえは最初から武器を持っているだろう。そいつを使って敵を倒すしかない。降りかかる火の粉は払うのみだ。

最初に配られる武器カードには4つの能力値が設定されており、これがおまえのできる全てを表している。ゲームが始まったとき、3点のフリーポイントをウイーザードリィーのキャラメイク風に自由に割り振れるから、その武器はおまえの個性が反映された唯一無二のものだ。戦闘にせよなんにせよ、この世界で「何かがうまくできたかできなかったか」は、指定された能力値に6面体ダイス2つを振った合計値を足し、目標として提示されている数字を超えればいい。それから、2つのダイスが同じ数字を示す、いわゆるゾロ目が出たとき・・・・運命に愛されたおまえは絶対的な成功を手にする。聖母マリアに感謝の祈りを捧げ、勝利をかみしめろ。

いずれにせよシンプルかつスピーディーにおまえと敵の弘法は終わる。おまえが勝てばたいてい何かしらのリワードを手にでき、冒険と探索は続く。もしおまえが負けたら・・・・安心しろ、すぐには死なない。おまえにはHPがあり、敵の攻撃でこれが0になるまで死ぬことはない。HPは武器の防御力に10を足したものだから、生き延びたければ防御力を上げておけ。

「じゃあHPが0になったらどうなるの? 死ぬの?」おまえはすぐにそうやって聞いてどうしようもない。HPが0になったときは、苦い経験とともに最初の棺おけに戻されるだけだからやはり即座に死ぬことはない。そこからもう一度探索をやり直すことができる。前回の経験を活かせる状態で、だ。ただし、HPが3度ゼロになったとき・・・・おまえの冒険はエンディングに到達することなくそこで終わりを迎える。THE END OF MEXICO・・・・。復活できるからといって死に戻りなどと調子にのり、いつまでも危機を乗り越えられないあほと腰抜けを甘やかしつづけるほどこの世界は甘くはないということだ。よく覚えておけ。

やり残しはないか

『レガシーコード』には、ボードゲームマニアが気にするシステムの妙とかプレイヤーインターラックション、あるいはクニーツィアジレンマとかpointサラダとかデッキビル度とか、そういったあらゆるモダンなボードゲーム要素の一切が含まれていない。あるのは『ダークソウル』や『ブラッドボーン』を彷彿とさせるダークな雰囲気のストーリーと、ダイスを振る簡単な判定だけだ。プレイヤー間の勝ち負けもない。だからボードゲームを遊ぶつもりでこのゲームを遊んだとき、モヤッとした感覚に襲われるヤツも少なくはないかもしれない。

だがなにより、『レガシーコード』はライト風と銘打っているがTRPGだ。TRPGにはルールで決まる明快な勝敗はだいたいない。プレイヤー同士の利害が対立して勝敗が決まったりすることもたまにはあるが、俺の経験上ではそういう場合でもだいたい勝ち負けはつかない。あるのは内面的勝利・・・・おまえの選択が命を吹き込み、紡ぎ出し完成したストーリーを振り返った時、おまえは納得がいくのか、という問いかけへの回答だけだ。エンディングにさしかかったとき、『レガシーコード』もおまえにおなじ質問をするだろう。そこでためらいなくYESと答えられたのなら、おまえはゲームを心から楽しみ、勝者となった。胸を張って堂々と家に帰るがいい。コロナで乾杯してもいいだろう。NOであれば・・・・もう一度冒険と探索をやり直せ。
実のところ『レガシーコード』の世界は一度で全ての顔を見せてはくれない。世界は多面体だ。おまえはスマッホで検索して表示される情報が世界のすべてではないことをもう知っているだろう。こんどこそ正しいと思う道をたどり、世界の謎を解き明かすといい。極限の選択の連続体験がおまえの中の真の狼-W・O・L・F-の魂を目覚めさせ、後悔なくこの世界を後にできた時……おまえは自身の選択がもたらす結果の意味を知り、どんな世界でもサバイヴしていける自信と覚悟を手にしているはずだ。たとえそれがわずかであったとしてもだ。

*やはり逆噴射聡一郎先生はすごいなと思いました。チャンスがあればまたこの方式にチャレンジしてみたいと思います。
*このゲームの真面目なレビューは以下のリンクから宜しくお願いします。
『レガシーコード The Best版‐日蝕と月の物語‐』
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