2016年第一回 ボードゲーム購入評定 ご下命その一 "お手軽に遊べそう"系ゲームを探せ!

ボードゲーム愛好

2016年第一回 ボードゲーム購入評定 ご下命その一 "お手軽に遊べそう"系ゲームを探せ!

ボードゲームの新発売は絶えない。だが、全てを買うことはできない。それでも、後悔のない買い物をしたい。ならば、どうするか。
購入前にボードゲームを厳選することで、数を増やし過ぎず、自宅の収納スペースと家族の仲を守る使命を託された、それがボードゲーム方購入掛である。(声:芥川隆行)

2016年、今年も多数のゲームが発売され、あるいは発売予定であった。これらを入手可能な情報と偏見に基づき、己が趣味嗜好に合致するかどうかを見定め、購入するかしないかを決断するボードゲーム購入評定が、この夏の酷暑の中、開催されようとしていた…。

まずはご挨拶

【登場人物】

与力藩の買掛担当。ボードゲームを探す人。ダイス運と決断力において弱点を持っている。ボードゲームだけではなく、TVゲームからTRPGまで幅広く好きです。

奉行藩の決裁担当。与力が選んだものに難癖を付ける人。思い切りの良さに定評があるものの、見切り発車にもなりがち。クニツィアジレンマがすっごく苦手。最近、甥とボードゲームで遊びたくてしょうがないらしい。

奉行空調! 水!

与力もはや懐かしいですね、エリカ様。

奉行うむ。よくは知らん女子だが、様付けされるのであれば、ハート様と同格ということなのであろうな。

与力いけない、この人、出だしからもう支離滅裂だ。

奉行さて、閑話休題といこう。わしが「ボードゲームを買うか、買わないか」を決断する奉行で…。

与力奉行に「候補となるゲームを上申する」のが、それがし与力でございます。

奉行詳しいことは昨年の評定を見て頂ければ詳細に書き連ねてあるが…

与力私共は、『①限られた資金内で』『②基本は二人プレイで楽しめ』『③あんまりテーマ性が薄くない』ボードゲームを日々探求し、購入しております。

奉行特に①の件はゆめゆめ忘れてはならぬ故に、無軌道に購入に走らぬよう、この評定を開いている次第だな。

与力まあ、身も蓋もないことをいうと、一ゲーマーのウインドーショッピングの様子を皆さんに楽しんでもらっている、って感じなんですが。

奉行ん、まあ、そうだな。まあ、レビュー前日談として、こんな話をしておるよ、という幕間の会話じゃ。お暇な折にでもご笑覧頂ければこれ幸い。

与力では、今回は「お手軽に遊べそう」系ゲームと、「しっかり遊びたい」系ゲームの二種に分けて候補をご紹介してまいりたいと思います。

奉行ん、苦しゅうない、はじめよ。

与力お奉行ってそんなキャラでしたっけ?

候補壱.『ザ・ゲーム』 Steffen Benndorf

詳細はこちら(Arclight Games 製品情報

与力『ザ・ゲーム』です。2015ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされたり、かなり話題になっていたと思います。

奉行随分と単純な名前だなあ。

与力日本語版が発売されていて、入手性が良いのも素敵ですが、パッケージがちょっとおどろおどろしいですかね。

奉行これは…皆でお手軽に遊べなさそうな印象を受ける箱絵だが…。

与力確か元々はノンテーマでこんなパッケージのゲームだったはずですが、日本語版になるにあたって、悪魔退治とかなんとかいう設定が追加されていた…気がします。

奉行まあよいかな。で、どういったゲームなのだ。

与力ざっくりいうと『ロストシティ』+『花火』な協力ゲームのようです。

奉行却下。次。

与力早いです!

奉行どっちもわしが苦手な、噛み切れない鳥皮のような、息苦しくなるゲームではないかー!いやじゃー!

与力そう仰らず! みんなで遊べる特殊ルール付きソリティア、という評価も見かけましたね。

奉行ふむ…情報を集めてみると…

  • 2~19の数字が付いたカードを、昇順降順のいずれかに並べていく。
  • 丁度10小さいか大きいかするカードは出せるという、「巻き戻し」のルールが重要

与力だいたい、こんなことらしいです。

奉行この手のゲームは、どうしても会話の制限が気になってしもうてのう…。

与力お奉行、喋りたがりかつカードを出したがりですもんね。

奉行こればかりは性分なのだ…。

候補弐.『コードネーム』 VLAADA CHVATIL

詳細はこちら(ホビージャパン 製品情報

与力次は現在絶好調で流行しているそうです、『コードネーム』ですね。デザイナーは『ダンジョンロード』や『タシュ・カラール』、『スペースアラート』なんかを作られた方です。多作ですよね。

奉行あの、CDかけながら遊ぶゲームを作った人であるか。

与力で、栄えある2016ドイツ年間ゲーム大賞に輝きました。おめでとうございます。ちなみに、日本語版は既に出ています。

奉行ふむ、期待できそうな。ゲームの内容はどのようなものだ?

与力はい、詳しい紹介はメーカーページを見て頂く形ですが、おおまかにまとめますと…

  • チーム戦のワード系ゲーム
  • 25枚並べられているスパイのコードネームを、チームメイトのヒントに基づき、自チームのものだけ当てていく。

与力ということですかね。

奉行単純だが、ヒントの出し方がカギになるという感じか。

与力一度にたくさんのカードを当ててもらえると有利なので、複数枚にわたるようなヒントを出していくのですが、相手チームのカードにお手つきしてしまったり、あるいは一発敗北となる暗殺者カードに当たってしまうと大問題ですので、それを考えるとピンポイントなヒントがよさそう、という。どうです?

奉行うむむ、なるほどな。うーん…。

与力おや、何やら難しい顔を。次行きますか?

奉行おう、そうしてくれるか。

候補参.『エスカレーション』 Reiner Knizia

詳細はこちら(ニューゲームズオーダー 製品情報

与力続いてはちょっと前、2007年のゲームなのですが、先だってのゲームマーケットで日本語版が発売になっていた、『エスカレーション』というカードゲームです。デザイナーはお馴染みのクニツィア博士

奉行げぇっ。でたな、我が天敵

与力あ、そんなに構えなくても大丈夫なカードゲームですよ、これ。

奉行…まこと、か?

  • 手番のプレイヤーは、手札から1~7のカードを選び、数を宣言して出していく。
  • この時、同じ数字のカードは、まとめて出して、その合計の数を宣言することができる。
  • 次のプレイヤーは、前のプレイヤーが宣言した数より大きい数を宣言しなければならない。
  • 出せなかった人は、場のカードを全て失点として引き取る。
  • 誰かの手札が尽きたら終わり。引き取らされたカードと余った手札のカードの枚数を合計して、最も少ない人が勝利。

与力ほら。ごく単純ですよ。

奉行う、うむ…。しかし、遊んでみると、必ずや何か仕掛けがあって、あちら立てればこちら立たずで悶えることになるのでは…(うろうろ)

与力あ、これはいけない、重度のアレルギーだ。

奉行しかし、箱絵は実に可愛らしいな。確かテーマが、ご近所戦争から、沢山ゲームを遊ぶ競争という変更をしたのだな。テーマに合わせたよい日本語版オリジナルじゃ。

与力そうですね、原版の“スパイダーショットみたいな銃を構えたお婆ちゃん”も悪くはなかったと思いますが…

奉行日本ではご近所の諍いに光線銃を持ち出す人間はそうはおらん。

与力海外でも滅多にいないと思いますが…

※原版のイラストはこちら(BoardGameGeek)にてご覧いただけます。

候補四.『スシゴー!』 P.W.Harding

詳細はこちら(Hemz Universal Games

与力最後もちょっと前、2013年に発売されたゲームです。オーストラリアのゲームメーカーから発売されていたのですが、こちらも『エスカレーション』同様、日本語版が発売されておりました。

奉行ゲームマーケットなどが大盛況の昨今、増加したプレイヤーに対して、少し前の佳作が手に入りやすくなるのは良いことだ…佳作なのだな?

与力ご安心を。目新しいところは無いように思いますが、安定したゲームかと存じます。

  • 各自の手札から一枚を選び、残りを左隣へ渡す。その後、選んだカードを一斉公開。選んだカードによって得点が変化する。
  • これを繰り返し、手札が無くなったらラウンド終了。
  • これを三ラウンド繰り返して、最終的に得点が高いプレイヤーが勝利。

与力いわゆる、“ブースタードラフト”ってやつでしょうかね?

奉行なるほど、回転寿司を再現している訳か。再現性は高いな。で、選んだ寿司ネタによって得点が変わってくる、とかそういうことじゃな。

与力はい。あと、複数枚集めると、高得点が得られるカードなんてのがあるので…

奉行なるほど、誰が何を集め始めたかが分かれば、上流でずっとエビだけ止めてるみたいな、回転寿司で誰もが夢想しがちな嫌がらせが応用できるのか。

与力しかもこのゲームではレーンを回っている寿司だけで、板さんに頼めないですしね。

奉行ルールは難しくなさそうで、絵が可愛い。かなりビギナー受けしそうなゲームじゃな。

与力絵が可愛いのは、海外版から引き続き、のようですよ。

"お手軽に遊べそう"系ゲーム【奉行の裁定】

与力いかがでしたでしょうか。

奉行うーん。取りあえず、一つずつ考えよう。まず、『ザ・ゲーム』。これは息苦しい系ゲームが苦手なわしには合わんと思った。

与力ダメですか。

奉行こういう比較的シンプルな協力ゲームで、ゲームの全体像が上手く把握できないのがどうしても辛くてなあ…。

与力あー、『花火』のトラウマですかね。あの時もやたら人の手札見たがりましたもんね。

奉行いらんことを言うな! …そういう訳でこれは見送ろう。製作者およびファンの方には大変、申し訳ない。次は『コードネーム』……これもわしらには合わんな。

与力…そうなると思いました。

奉行まず二人で楽しいのか?という疑問。そして、円滑なプレイのためには語彙力と想像力が要求されることが想定される。それが同じようなレベルで揃っていれば良いが…

与力そこに差があると意味不明になっちゃう、って現象ですね。『ディクシット』の時に、そんなことをおっしゃっておられたような。

奉行手札から選択肢を選ぶことになる『私の世界の見方』ならば、その辺りがなんとかなるのだが、相手に合わせて適切なワードを選択するのは、どうにも語彙力に欠けるわしには苦手な系統だ。

与力ダメなものはダメ、と。

奉行かねがね、こういうワード系ゲームは、一見みんなで遊べそうで、意外と人を選ぶ気がしておるのだ。いつもの気心しれた仲間同士とか、夫婦の絆を確かめながら遊ぶとかなら面白いかもしれん。まあ、あくまで食わず嫌いの戯言と聞き流してもらいたいが。

与力とりあえず、お奉行とそれがしには、まだまだ隔たりがありそうですな。

奉行そうじゃな。

与力肯定ですか!?

奉行おぬし、語彙力の豊富さと、考えのひねり具合が尋常ではないと思う。たまにおかしい。

与力そこは素直に褒めてくださって良いのでは…。

奉行さておき。残るは『エスカレーション』か『スシゴー』か…『スシゴー』かな。

与力理由、当てましょうか。クニツィア氏じゃない方、選んだでしょう。

奉行違うわ! そこまで失礼なことはせん! まあ、管理しておるゲーム蔵を見回してみると、本当に単純に、誰でもお手軽に遊べる系統のゲームが不足しておるなあ、と思ったのだ。この2つのような、シンプルなゲームは欲しいと思っておった。で、『スシゴー』は、絵の良さと、テーマの想像し易さが良かったので、こちらにした、という訳だ。

与力なるほど、ここは減点式ではなく、加点式で考えたんですね。

奉行わしが嫌だ嫌だと駄々をこねるだけと思うたか。…いや、こねているか? ……という訳なので、左様取り計らうように。

与力ハ、ハハーッ。

裁定を下した奉行であったが、その心を吹き抜ける冷たい風があった。

奉行これだけ話題を呼んでいる『コードネーム』を、素直に楽しめないのはつらいのう…

ボードゲーム購入評定、ご下命その二へ続く!