ワードミノ(ボードゲームプレイ感想編)

ボードゲーム愛好

『ワードミノ』を遊んでみた

【関連記事】
ワードミノ 開封編/感想編(この記事)/専用オーガナイザー感想編
【登場人物】

奉行藩の決裁担当。砂時計といえば?「昔のパソコン。待ち時間が発生した時よくくるくる回っていたような気がする」

与力藩の買掛担当。砂時計といえば?「色んなゲームで見た気がするんですが、ぱっと浮かんだのがゼルダの伝説」

ドミノって倒すためのものって訳じゃないんですよ

奉行えーと、このタイルをつなげて言葉を作る、か? 『もじ〇ったん』的なことか?

与力確かにあれも言葉を扱うゲームではありますけれども。この『ワードミノ』は、「場に並んでいるタイルにどんどんタイルを繋げて、言葉を作ると得点」というゲームですね。

奉行ドミノといえばドミノ倒しになる人間が言うのもあれだが、「ドミノ」という要素がカギを握る感じなのかな。まあ推測はさておき、準備を始めようではないか。ちなみに『もじ〇ったん』はほとんどやったことないぞ。

与力始めたらハマっちゃうからですか?

奉行よくわかっているじゃないか。

各プレイヤーは自分の色を決め、その色のプレイヤータイルと得点キューブを受け取ります。スタートプレイヤーのみ、プレイヤータイルを裏返して置き、得点キューブは全員得点ボード上に置きます。続いて、文字タイルは裏面の色(青=レベル1、赤=レベル2、黒=ワイルド)ごとによく混ぜて山を作ります。その後、プレイヤーごとに決められた枚数のタイルを配り、手持ちとします。

最後に、スタートプレイヤーがレベル1のタイルを山から4枚取り、テーブルの真ん中に裏面にして所定の形に並べ、砂時計の準備ができたら並べたタイルを表にしてゲーム開始です。

こんな感じで始まります。

奉行へー、ゲームロゴがスタート画面を意味していたのか?

与力そんな感じですね。常にこの形でスタートしますよ。

奉行なんか……オシャレだなあ。いかん、いい具合に表現しようと思ったが、語彙力が足りん。先行きが不安だ。

ポイントは『3文字以上、名詞』

なんか地名ばかり出てくる序盤……。

プレイヤーは自分の手番になったら、砂時計の制限時間1分以内に、手持ちのタイルを場に置かれているタイルに「3文字以上の言葉が完成する」ようにつなげて置かなければなりません。言葉が完成したら声に出して読み上げ、他プレイヤーの承認が得られたら得点になります。

奉行いやあ、1分って結構どきどきするな。

与力ちょうどいい長さではあるはずが、実際回答するとなると焦りますね。

奉行さて、現状では「高雄(たかお/地名)」「木曽氏(きそし/一族名)」「インカ(いんか)」とかが完成した言葉だな。

与力タイルが増えれば3文字より多い言葉も作りやすくなりますから、ここからが勝負ですね。

置けない場合、置きたくない場合、時間切れの場合には、任意のタイルの山から1枚タイルを取って手番終了となります。

奉行ううううむ、なんかこう、意外と悩ましいな。こうか? いや、こうか? ん?

与力夢中になると忘れがちですが、タイルを置きやすくなるルールが幾つかあるので、注意しておきましょうね、お奉行。

奉行お、おう。なんだったっけ?

タイルを配置する際の注意点です。

  1. タイルの向きに制限はなく、言葉は上下左右どの方向から完成させてもOK。
  2. 「い」と「こ」、「く」と「へ」は互いに同じ文字として扱ってOK。
  3. 濁点、促音、拗音にすれば言葉が完成するものは、変換してOK(「さ」を「ざ」、「つ」を「っ」など)。
  4. 長音記号は文字で表されていてOK(「かある」⇒「カール」など)。
  5. ワイルドタイルのマークは、好きな文字に変換して使用OK。

奉行割と自由度高いなー。「い・こ」と「く・へ」が共通の文字ってのは中々面白いし、便利じゃな。活用せねば。

与力ワイルドは切り札ですね。狙いを定めて使っていきたい。

奉行ただ、いったん置いたワイルドは他のプレイヤーにもワイルドとして使われる訳だろう。序盤からうかつに使うと、敵に塩を送ることになりかねんな。

与力なおワイルド同士が接することはできない、ってのも覚えておかないといけませんね。あ、ところでお奉行、砂時計の砂が落ち切りますよ。

奉行えっ? あっ……。

色んな方向から言葉が完成しなさそうに見えてする、という。

一文字1点のレートですが……

プレイヤーは言葉を完成させるとその文字数と同じだけの得点を獲得します。そしていずれかのプレイヤーが20点を獲得したら、プレイ順が最後のプレイヤーまで手番を行い、そこで最も得点が高いプレイヤーが勝者となります。

奉行ふうん。つまり文字数が多い言葉を作れば作るほど有利、ということだな。

与力で、もう1つこのゲームにはゲーム終了の条件がありましてね。「7文字以上の言葉」を誰かが作ったら、そこで即ゲーム終了、そしてそのプレイヤーが勝者となるんですよ。

奉行なんと、一撃勝利か! あ、だから「せんちめんたる」で泣く訳だな!

与力あと、いくつかボーナス点の入り方があります。タイルを置くことで同時に完成させた言葉1つにつき+1点。レベル2のタイルを使用して言葉が完成したら+1点、という感じですね。

奉行同時に3語とか作ったとしても、文字数全部が点になる訳では無いのね。

とはいえ7文字なんて本当に作れるんです? と思う難しさ。

拡張ルールも楽しめます

奉行なかなか淡々と脳を酷使するゲームではあるが、もうちょい派手な展開になるルールがあるとか?

与力はい、このゲームにはジャンルタイルを使用する「拡張ルール」、手持ちタイルの枚数などを調整した「子供向けルール」、手持ちタイルを早く使い切ることを競う「リアルタイム」と、3つの追加ルールがあります。

奉行うむ、一粒で更に三度も美味しいとは。

与力我々は、指定のジャンルの言葉を完成させるとボーナス点が入る「拡張ルール」を使って遊んでみましょうか。

付属のジャンルタイルを得点ボード上に並べます。

ゲーム開始時、初期配置のタイルを裏返す前に、スタートプレイヤーはランダムに選んだジャンルタイルを5枚、得点ボード上に並べます。ゲーム中、完成させた言葉がジャンルタイルに当てはまっていた場合、ボーナスとして2点を追加で獲得し、ジャンルタイルを裏返します。

奉行裏返したジャンルはその後完成させてもボーナスはもらえず……ということじゃな。一人に得意なジャンルがあっても圧勝するポイントにはならない工夫かな。ありがたい。

与力あと、複数のジャンルにまたがる言葉を完成させても、ボーナスは1つのジャンルからしかもらえません。ご注意を。

奉行相分かった。で、この選出されたジャンルタイル、非常にイヤな予感がするのだが。

与力え? どこがですか? ともかく、始めましょうよ。

案の定。

与力これで「かよくかん」が完成しました。「歴史/地理ジャンル」に該当するので2点プラスです。

奉行うん。知ってた。ただ、こんなに早くフラグ回収するとは思っていなかった。

与力ちなみに嘉峪関というのはですね、現在の甘粛省にありまして、かつては万里の長城の西端として知られていた訳ですが……。

奉行あー、はいはい。わしの手番でーす。ご静粛にー。

『ワードミノ』【ここがイカス!】

奉行えっとだな。ワードゲームだがリアルタイム(早押しシステム)で無いのがいい。

与力ズバリそこですかね、やはり。

奉行実際問題、説明書のあとがきで「過去に何度か全く何もできないままゲームが終わってしまった」というデザイナー氏の体験に触れていたが、そういうのは有る訳よ。わしもそうなったことがあるので。

与力なるほど。ゲームに参加しているのに参加できない実体験は重いですね。

奉行で、語彙が豊富とか、あるいはワードゲームは好きなんだけど、リアルタイムだとちょっと不得手、という人にとってはこのゲームは福音じゃないかなあ。語彙力お化けのおぬしと遊んでも楽しかったぞ。

与力今までにないプレイ感ではありましたね。そしてさらっと人をお化け扱いしないでくださいよ。

奉行ちょっと尋常じゃない様子を可愛らしく表現しただけだ。そしてタイル配置ゲームではある訳だが、それがワードゲームになっているのが、凄く新しいと感じた。

与力ワードゲームはカードが多そうですからね。瞬発力であっという間に白熱するワードゲームに対して、ちょっと考える余裕があって、静かにヒートアップするワードゲームって感じでしたかね。

奉行うん。言葉が完成していく様子が視認できるのもいいし、だんだん長い言葉が作りやすくなって高得点が取りやすくなったあたりで、すっとゲームが収束していくのもいい。ダレないよな。

与力タイルを配置する際の細かいルール、特に向きが関係ないというところから、「く・へ」を共通の文字として扱うとか、そういうところもプレイしやすさにつながっていると思います。

奉行置けないようで置ける、んだよな。本当に。

与力あと、手番の時間制限があるので、場から目を切れないのも没入感が高まりますね。

奉行1分というのはいい設定だよね。遊んでみると長すぎず、短すぎない。

与力ひたすら場を見つめ続けて、言葉がひらめいた瞬間の喜びは快感になります。

奉行そうな。全然作れる自信が無いけど、7文字なんか完成させられたら、『ロッキー』のエンディング並みに感動の嵐かもしれんよ。

『ワードミノ』【ここはちょっと……】

奉行わし、もうちょっとタイルを手元に置きたかったな。

与力あ、山からもっと引きたかった?

奉行そう。意外と最初の手持ちで勝負に挑む感じではあった。引く選択肢はあるが、3点は意外とタイルを置けば取れる感覚だったので、かなり迷った。

与力私は一度も引かなかったですね……。

奉行という人が相手の場合、引いてる暇がないから余計に引きたくなる。あ、あと置かれたタイルなりにしか言葉を作れないから、ワードゲームとしては結構縛りが強めかもしれん。変則クロスワード的な感じだよな。わしらはそういったパズルゲームもそれぞれ好きだから楽しいんだが、パズルっぽさとかが苦手な人には重たいかも。そこは好みかな。

与力パズルが好きでも、こういう盤面を見つめていると、どこか一つのどうでもいいところに目が行っちゃって、全然他のところに思いが至らなくて悔しい思いをすることとかはありますしね。私は「おお、その答えがあったか!」と感じますが、そうではない人もいるかもしれません。

奉行後は好みで言えば、良いところで最初にあげた「リアルタイムでないところ」か。例えば「ワードバスケット」とか「ワードスナイパー」とか、早い者勝ちで回答するワードゲームが一般的だから、それとはちょっと違う新感覚のゲームだよ、というアプローチはあった方が親切かもなあ。

与力即時性がお好みの方は、拡張ルールのリアルタイムルールで遊ぶと良さそうですよ。製作者のかぶけんさんもそのような趣旨のことを仰ってました。それでも、一見難しそうに思えても何だかんだ言葉が出来上がってくるところが、このゲームの醍醐味だと私は思います。このタイルの文字設定が絶妙ってことなんでしょうね。

奉行これ、どんだけ調整したんだろうな? 最初は「えー? ある?」とか思っていても案外見つかる。でもすぐ答えるんじゃなくて、もっと「おお!」と言われるような凄い置き方を模索してしまう。このやりこみ感は「プレイヤー共通で置くタイルから、1分間で答えを探す」という要素がカギなんじゃなかろうか。なので、新しいタイプのワードゲームとして、是非遊んでみて欲しい作品だと思う。

与力ちなみに私、端っこの方で「えほん」とか作った時は、我ながら「もっと頑張れよ! 俺!」って思いました。

奉行さて最後に、説明書のあとがきでも言及しておられるが、確かに制限時間の1分を測るものは、プレイヤー人数分用意した方がプレイしやすいと思う。1つだと、砂が落ちきる前に回答した後、次の人が困る。まあスマホがあれば事足りるんだが……砂時計欲しい。

与力砂時計の方が雰囲気は出ますからねえ。最低、2つあれば回りますから、なんとか探しましょう。奉行所には『テレストレーション』用のが2つくらいあったような……?

奉行昔の家って砂時計の一つや二つあった気がするが、昨今は便利な電子機器が多すぎてなかなか見なくなっている気がするよ。ちなみに、持ち時間制で……というのも考えたが、どうであろうな。

与力チェスクロック買うんです?

ところで。

与力1枚という得点ボードが2枚付属していたんですよね。

奉行おお、予約特典の色違いバージョンとか?

与力そんなアナウンスはなかったです! 微妙にそれっぽいこと言っちゃダメですよ。 たぶん、封入作業お疲れだったのではないでしょうか?

2019/6/5追記 2枚の得点ボードについての補足

与力……という推測話を勝手にしていたら、なんと製作者のかぶけん様から状況をご説明いただいてしまいました。

奉行自分の作品に対する熱いこだわりじゃないか……それをおぬし、確認もせんと人様のミスのように書きおって。

与力ま、まこと、申し訳ございません。確かにじっくり拝見してみたところ、確かに反っていると言われれば反っているかも、という仕上がりで、とても問題があるようには見えませんでしたので、つい。

奉行以後、気を付けい。わしの初回特典的な発想の方が、答えに近かったではないか。ともあれ、訂正を追記させていただくと共に、マットはありがたく頂戴しておこう。また、丁寧なご指摘まことにありがとうございました。