チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット(ボードゲームプレイ感想編)

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チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セットを遊んでみた

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『チケット・トゥ・ライド オランダ拡張セット』の開封記事はこちら
【登場人物】

奉行藩の決裁担当。橋と言えば?「封鎖しづらいもの……かのう」

与力藩の買掛担当。橋と言えば?「やはり日本橋ですかね」

オランダづいている奉行所です

奉行先日、水没しかけているオランダを救ったような記憶が有るのだが、今度はその土地に陸蒸気を敷いて発展させるのか。わしらはオランダ発展ゲーム大会でもしておるのか?

与力偶然ですってば、偶然。『シーランド』とか『さまよえるオランダ人』まで持ち出して来たら疑ってくださいな。

プレイヤーは、まず『チケット・トゥ・ライド』『チケット・トゥ・ライド ヨーロッパ』に入っている自分の色の列車マーカーとスコアマーカー、列車カードを受け取ります。その後、この拡張セットに入っている行先チケットを5枚受け取り、3枚以上を選んで手元に残します。

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット
美しいチューリップが描かれたカードだが……

奉行む、むむむむ? この行先カード、得点の数字は正しいのか?

与力はあ。じつは非常に得点の高い行先チケットが、全44枚中に、かなりの枚数が含まれております。ですから、勝利するための得点は、相当に高くなることが予想されますねえ。

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット
34点とか、ものすごい得点力。

また、橋の通行料トークンを30点受け取ります。残りのトークンは、銀行としてボードの横にまとめておきます。最後にスコアマーカーをゲームボードの得点トラックへ配置しますが、この時先手番の有利に対する修正として、後手番のプレイヤーは、自分の前の手番のプレイヤーよりも1点多いトラックへマーカーを置きます。これで準備は終了です。

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット
2人プレイならば、こういうことになります。青が先手の与力、黄色が後手の奉行。

複線はご自由にお使いいただけます

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット
オランダのマップ。ほとんどの路線が複線で構成されています。

オランダマップでは、プレイヤーの人数によって2本路線が並んでいる複線のどちらかが使えない、ということはなく、常に全ての線路に列車コマを置き、路線を通すことができます。ただし、列車コマを置く時には、橋の通行料を支払う必要が有ります。

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット
例えばアムステルダムの周辺はこの通り。

各路線は価値がそれぞれ決まっており、数字で表記されています。複線になっている路線へ最初に列車コマを配置したプレイヤーは、価値と同じだけの通行料をトークンで銀行に支払います。その次にもう1本の路線に列車コマを置いたプレイヤーは、通行料を、先に列車コマを置いていたプレイヤーに支払わなければなりません。

奉行あー……複線の道行きは、先に抑えた方が通行料トークンを徴収する権利も手にするわけじゃな。

与力はい、上の写真の白と黄色の複線でいえば、例えばお奉行が先に白の路線に列車コマを置いたとしましょう。価値は3ですから、通行料トークン3点分を銀行、つまり余りトークンの山へ戻します。次に私が黄色の路線にコマを置いてつなげたら、3点の通行料トークンはお奉行へ支払うことになるのですね。

奉行ほほう、それはそれは……。でだ、ゲームの進行によって手元不如意となり、トークンを必要なだけ支払えなくなった場合にはどうなるか。

与力銀行、他のプレイヤー、いずれに対してもトークンを支払えなかった場合には、借金カードを受け取らなければなりません。ちなみに、トークンを受け取れる側のプレイヤーは、そのせいで不払いとはならず、銀行が支払ってくれますので、その点は大丈夫です。

奉行あと、これは根本的な話じゃが、トークンを貰えることに意味はあるのか?

与力えっとですね、得点計算の時に、トークンを持っている量が多い人ほど、ボーナス点が貰えます。結構馬鹿にならない点なので、無視はできないですね。

選択ルールを使って通行料の厳しさを体感

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット

与力行先を考えると通行料を払ってでも突っ込みたいところですが……

奉行複線だらけというのは、この通行料トークンのやり取りというアヤが生じるように設計されていたのであるな。ところでだ。

与力はい、なんでしょう。

奉行わしらはいつも通り2人プレイのはずだが、なぜか見知らぬ赤い列車が走っておる。これは一体?

与力お、いまさらですが、紹介記事的にはいいタイミングでの質問ですね。

この拡張の最大のポイントである通行料トークンですが、2人プレイではなかなか路線がかち合わない可能性もあり、やり取りが多く発生しない可能性もありそうです。そのためか、選択ルールとして「通行料無料」か「中立プレイヤーの参加」が準備されています。今回のゲームでは中立プレイヤーを使用しました。

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット
突然現れる謎の赤列車。

中立プレイヤーは、ゲーム開始後6ターン目の最後から行動を開始します。行先カードの山札から1枚引き、カードの下に2都市間のルートが書かれていたら、その路線に列車コマを置きます。これにより、複線ルートがふさがってしまったり、中立プレイヤーからプレイヤーへの通行料の支払いが発生するようになります。

奉行はあ、お邪魔なのかお客なのか、謎の存在であるな。

与力最大で40個の列車コマを置いてくる可能性が有ります。だいぶ場を引っ掻き回されますね。

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット
最終盤面。

プレイの結果、奉行が104点を獲得してみごと勝利。与力は通行料トークンが枯渇して借金を背負ってしまった上に、31点の行先を達成できずに大きなマイナス。惨敗となりました。

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット
奉行の勝利の要因。

奉行通行料をしっかりと稼いだお蔭で35点も貰えるとはな。

与力お奉行に行きたい先の複線を、ことごとく先に抑えられてしまったんですよね……。そのせいで通行料トークンを吸い上げられてしまいました。

奉行それを嫌って迂回ルートを通ろうとしたら、行先カードを達成する前にゲーム終了、じゃったのう。

与力決断が遅かった……。

『チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット』【ここがイカス!】

奉行なんというか、プレイヤー間の駆け引き要素は強いな。

与力通行料トークンのやり取りが、結果的に勝負を左右してくると思うんですよ。5人プレイだったら最大55点貰えますからね。そのためには、人のトークンをどうやって巻き上げていくか、がカギになると思います。

奉行じゃな。勢い、人の通りそうな路線を抑えるプレイなどをしてみたいものだが、そうすると、行先カードが達成できるか怪しくなる。

与力行先の得点がデカいですからね。全44枚中、17点以上の高得点が半分以上ありますから、これを達成していかないと、やはり勝利は厳しい。

奉行他プレイヤーを利さないように通行料を上手く残しつつ、行先を達成していく。この辺りの決断が求められるマップじゃな。

与力ちなみに、選択ルールはどうでしたか?

奉行悪くなかった。このマップとルールであれば、プレイヤー間の絡みが多い方が色々と楽しそうだからな。2人プレイならば中立プレイヤーの導入はおススメできると思う。

『チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット』【ここはちょっと……】

奉行通行料トークンの取り合いでへこむと取り返せない。だったのだな?

与力2人プレイで35点は大きいですよねえ……。

奉行ま、違いを生み出す追加要素であるだけに、通行料を無視したプレイは、勝利を求める上では許容されない感じだな。その点、追加マップはどれもそんな感じじゃが、基本セットの「カード引いて線路をドーン」というような、おおらかさには欠けるところがある。そこを心得ておきたいな。

与力他には何かありますか?

奉行ボードの視認性は宜しくないと思う。絵は美麗だが、馴染みのない地名が多くて、都市名がよう分からぬ。ゆえに、行先確認で何度かゲームを止めてしまうことがあったな。

与力原語輸入版では避けて通れない問題ですね。とはいえ、『チケット・トゥ・ライド』シリーズは、日本語版のボードでもそうなるんですよね。

奉行『パンデミック:ライジングタイド』は可愛らしいフォントで地名も日本語化してくれておるのにのう。

チケット・トゥ・ライド:オランダ拡張セット
もう一つの問題点。

奉行通行料トークンを台紙から抜いて遊び、いざ片付け!……となった段の写真が、これじゃ。

与力中仕切りの空きスペースには、ちょっと収めづらい質量なんですよねえ。

奉行なので、中仕切りを取るか、別に収納容器を用意するしかないかと思う。上手く仕舞えておる方がおられれば、是非ともその秘策をご教示願いたい所じゃ。

与力取りあえず我々は小型タッパーに入れて保管することにしました。

奉行遊ぶ時に「トークンどこだっけ!?」とならぬようにしたいな。

【チケット・トゥ・ライドシリーズ一覧】